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メテボ・森 新緑作

メテボ・森 新緑作

2004年2月8日 久野恵一
製作地:大分県日田市

 かつて、九州は竹細工の盛んなことで知られていました。なかでも温泉地として有名な別府は、江戸期より全国にその名を馳せてきました。

 今は美術工芸品作りの作家や、デザイン的形を求めるクラフト工芸家が中心となりましたが、依然として代表的生産地といってもよいでしょう。

 その大分県にも青物細工と呼ばれる、主に農、山、漁向けの生活用具としての竹製品をつくる職人が、各地域に細々ながら竹細工業を営んでいます。

 盆地の中心を筑後川が流れる水郷・日田市。その街中で、竹細工業三代目となる森新緑さんは昭和十七年生まれ、老齢化が進む竹細工師、全国的にも若い作り手といえます。 

 森さんに農具用の製品から、現代の暮らしにも向いた工芸品づくりにとりくんでいただきました。

メは目が空いているという意味で、テボは九州地方で篭のことを指します。

 この地方では芋洗い篭ともいわれ、里芋を入れて川の 清流に浸け、ゴロゴロと振ります。芋どおしが擦れることによって泥皮がやさしく剥がれ、菱四ツ目で編まれた篭目から、流れ出るということです。

 むろん、今こんな光景にはめったに出会うこともないでしょう。

 縁にむかって斜めに編み組み、目が狭まりながら、自然にしぼりこむことで生まれた造形は無駄がなく、力強くて美しさを 感じさせてくれます。 既に使われなくなったことで、忘れさられる篭ですが、際立った形の豊かさを現代に生かしたいと考え、改善をお願いしました。

 本来、乱暴に扱うものだけに、ヒゴという竹の骨材は分厚くて粗いものを用います。この分厚いヒゴの力を生かしておき、表皮を磨いて角の面をわずかに削り落とします。当たる手が 傷つかない為の配慮です。見た目にも感じのよい用材となり、このヒゴで全体を編んでもらいます。

 安定感のない底には四本の足を差し込み、据え置きできます。破損しやすい縁も幅広くし、雑だった縁巻きも軟らかい一年生まれの竹の表皮を薄くヒゴどりして、二重に返して巻き、 丈夫なものに出来上がりました。インテリアに、このような素朴で自然感を与えてくれる篭を 取り入れていただけたら、と推薦します。