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小鹿田焼 交差飛鉋1斗壷

小鹿田焼 交差飛鉋1斗壷

2006年11月 上砂雅彦
製作地:大分県日田市

坂本茂木作(2006年3月窯)

 この写真の壷は、私の関係する小鹿田焼展のDMにした作品です。案内状ですから展示全体の内容をはがきの中に凝縮しなければなりません。その中で選んだこの壷はあまりに存在感が強く、他のどの作品より際立っていて、写真からもその迫力が伝わってきます。秀作は写真で見た場合、実際の寸法より大きく見えるそうですが、この壷はどれぐらいの大きさに見えますか。高さ60cm以上の3斗壷に見えませんか。実際には1斗壷ですから高さ40cm程度なのです。

足元から腰に掛けてのラインの美しさが壷の迫力の中心にあると思います。

 壷は球形にすれば容積を増やせ、安定させるためには底の面積が多く必要になります。良質の陶土と言い難い小鹿田の土は底の面積が大きくなるとひび割れ易くなり、焼成中に破損する確率が高くなります。底の面積を小さくする事は、破損を減らすためにうまれた必然の形なのでしょうが、本当に美しい形です。蓋の大きさ、バランスとも申し分ない形です。

作者には申し訳ありませんが、比較のため、秀作を写真の上で加工させていただきました。二つの写真を見比べて見てください。下部を少し短く加工しただけで印象が全く変わってしまいます。比較するとことで1斗壷の形の絶妙なバランスが際立ちます。

写真の加工は簡単にできますが、現実の作陶の世界で形を変えることは簡単なことではありません。つまり、この壷の形は作者の並外れたセンスと高い技術の上に成り立っていることがわかるのです。