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買い物竹籠

買い物竹籠

2007年3月 鈴木修司
製作地:鹿児島県姶良郡

制作者:鹿児島県 尾崎利一さん

 

 尾崎さんは、地元竹細工組合の下請けとして、趣味的なものから実用品まで様々なものを依頼され、製作しています。この買い物籠もそういった注文の中のひとつとしてあった形状で、特にこの地方のもの、伝統的なものではなく、おそらく別府の竹細工訓練所で考案されたデザインではないかと思われます。趣味的(クラフト?)なもので、その特徴のある独創的な飾り口がそれを物語っています(筋細工から転用された編み方で、実用的な竹細工には使われないもの)。

 

 しかしこの籠の場合は、尾崎さんが製作していた元々の形に改良がいくつか加えられています。具体的には、一本の持ち手であったところを、三本にし(見た目にがっちりと、もちろん実用面での補強の意味合いも)、そして持ち手の巻きを籐からツヅラへと変更されています。 道具としての力強さ、用から生まれる美しさを失いつつあったもの(趣味的な、ひ弱なもの)に、正しい眼と知識による用途に忠実な、健全な方向への改善(アドバイス)が加わることにより、本来道具としてのあるべき姿を取り戻すことが出来、良いもの、美しい手仕事として認めることが出来るものになったのです。現代の生活に合う、美しい手仕事の道具が新しく生まれたのです。

 

 このようなケースは、この籠だけに限らず、他の手仕事の品にも十分ありうることで、良き担い手(プロデューサ−)の存在が、今後の手仕事の未来に重要な役割があることを示しています。 私がこの籠に惹かれたのも実は、その改良を加えたがっちりと力強い三本の竹が交差した持ち手(巻かれたツヅラが、その見た目の力強さ、素朴さを強調してくれている)と、立体的に巧みに編まれた飾り口との組合せの絶妙なバランスでした。この籠の出来上がるいわれを聞いて、なるほどと感心するばかりです。

 

 私がこの籠に惹かれたのも実は、その改良を加えたがっちりと力強い三本の竹が交差した持ち手(巻かれたツヅラが、その見た目の力強さ、素朴さを強調してくれている)と、立体的に巧みに編まれた飾り口との組合せの絶妙なバランスでした。この籠の出来上がるいわれを聞いて、なるほどと感心するばかりです。

 

 頭の中で、この飾り口に一本手の籐巻きの持ち手を想像してみると、おそらく私は惹かれることはなかっただろうと・・・。