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打掛櫛描大皿

打掛櫛描大皿

2011年4月 鈴木修司
製作地:沖縄県読谷村

製作者:読谷山焼 北窯(松田共司)

こちらの大皿に出会ったのは、つい先日の鎌倉“もやい工芸”で開かれていた“沖縄やちむん”展でのこと。実は現物を見る前に、“もやい工芸”ホームページの展覧会紹介に写真がアップされていたので、その時から素晴らしい皿だなと感じていました。会は初日に伺ったのですが、開店後しばらくして訪れた時には、既に遅し・・お店はかなりの賑わいを見せ、棚には売れてしまった跡の穴が所々に目立っていました(震災直後であったにも関わらず、沖縄のヤチムンの魅力に引き寄せられたのか、予想以上のお客様の多さです)。『さすがにあの大皿は売れてしまったな・・』と半ば諦めつつも、他のものを物色しながら落ち着いた頃に、スタッフの方へ『あのホームページに出ていた大皿は、やっぱり売れましたか?』と聞いてみると、なんてことはなく『いや、まだ出してないだけですよ』とあっさりとした返答が返ってきました。そこで現物を早速に見せて頂くと、やはり素晴らしいものです。写真で見るよりもはるかに良いものです。一緒に訪れた友人は、興奮を抑えきれず、私を含め周りの強い勧めもあり、間もなく購入を決めたのでした。そうこうしているうちにオーナーの久野氏が現れ、『あれっ!何でそのお皿出ているの、しまった・・』と思わずポツリ、あまりにも良いものであったので頃合を見てお店に出すとのことでした。しかし見せてもらったからには、もう間に合いません。無事に私の友人に持ち帰られたという話が、長い前置きです。

本題に入って、この大皿の素晴らしさについてお話させて頂きます。まず目を引くのが、大胆かつ大らかに打ち掛けられた白泥、そしてその上に何気に施された櫛描きが相まって、意図的なものであるにも関わらず、自然な無意識的なものと思われる程に、嫌味なくお皿の中に納まっています。後から聞いた話では、実はこれに加えて色差し(おそらく飴や緑釉で)をするつもりだったものを、単に忘れただけだったようです。言われてみるとなるほどですが、この微妙な“隙間”というか“余白”が何とも言えぬ味わいを醸し出しています。そしてこれは実際に手にして見ないと分らないことですが、予想以上に軽いということです。作り手の松田共司さんのただならぬ腕前を感じさせます。


それにしても素晴らしいものです。友人にではなく、自分が手にしたかった・・。