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特山芋かご

特山芋かご

2012年4月 高梨武晃
製作地:千葉県南房総市

千葉県出身の私に、竹のある風景は見慣れたものでした。

川辺には護岸用に竹が生え、竹材屋をよく目にし、祖母は内職で団扇に縁をつけていました。

真竹の端正な性質がまるで生かされたかの様な、素直で長細い深型のかご、
房総半島南端の潮の香りが届きそうな小さな作業場で作られています。

しかし私の第一印象はドンっとした、ごついかごに思えました。

ですが、よくよく見るとどこか抜けた、愛嬌のようなものがあり、

見ているだけで笑顔がこぼれそうな愛らしい表情をしています。

丁寧だったり綺麗さとはまた違う美しさ。

私はそこに面白さを感じました。

 

特徴的な縁は誰かに掴まれるのを待っているかのようで、

何重にも巻かれ持ちやすくしっかりとした安定感があります。

元々は1mを超える長芋を入れる為の実用的なかごです。

それを現代の生活に取り入れやすいよう手仕事フォーラム代表の久野氏が
アイデアを出して短くさせたのだそうです。

材にはこの地方特産の女竹ではなく真竹を用いたので、
1年以上経過してもまだ青さが残り清々しさを与えてくれます。
女竹は切り出しまもなく編み組みしても、青味が早く抜けるからです。

私の使用の仕方は散らかりがちなCDを入れています。

本好きな方なら文庫を入れるのも良いでしょう。

南房総を旅したことがある方はわかると思いますが、

春には多くの花が咲き、黒潮によってもたらされたおおらかな風土は、
暖かさと照葉樹林帯の木々の青々さが目にしみます。

このかごはその風土をそのまま形にしたように思えてしまうのです。