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フォーラムが選ぶ・この逸品

清水俊彦さんの流釉小壷

清水俊彦さんの流釉小壷

2012年5月 坂本光司
製作地:兵庫県篠山市今田町上立杭

丹波立杭焼の清水俊彦さんの渋い流釉小壷です。
先日の京都の旅で、清水さんの俊彦窯を訪ねた際に手に入れた逸品です。

轆轤を軽く回しながら、壷の肩に沿って化粧土を流し掛けした結果、ほぼ均等に縦方向に垂れています。
この技法は「流釉」もしくは「流し掛け」と呼ばれるそうです。
流釉は蝋燭徳利などにも見られ、丹波の特色の一つです。
モスグリーンの地に白が流れる景色は、まさに日本らしい渋さを感じます。
モスグリーン色に呈色するのは窯焼成の際、還元炎で焚かれるからだそうで、不完全燃焼させると釉薬が生地の鉄分と融合して、独特の味わい深い色になるからだそうです。

蓋には化粧土でイッチンがされていますが、この適当な感じが素朴でたまりません。
実はこの蓋に一目惚れしてしまいました。
内面にも施釉されてますので実用的です。
何を入れようかと迷いますが、やはり梅干しでしょうか。

俊彦窯を訪ねる前に、兵庫陶芸美術館の特別展「柳宗悦と丹波の古陶」で流釉小壷の古作を見ていたのですが、いまだにこうした丹波の伝統的な仕事が続いていることに感動します。
久野恵一さんは「清水さんは丹波立杭の伝統を受け継いでいるただ一人のつくり手だと思う」とおっしゃいます。
民窯としての丹波立杭焼の伝統、技術が途絶えないことを願い、推薦したい逸品です。