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運び盆

運び盆

2012年6月 瀧山直子
製作地:鳥取県倉吉市

 鳥取県倉吉市、福田豊さんによる運び盆です。
 この形は、“鳥取民藝の父”吉田璋也により考案されました。福田さんは、その教えを守り続けお仕事をされる、ほぼ唯一の鳥取民藝木工の指物師です。
 鳥取民藝木工というと、数々の映画の小道具にも用いられている電気スタンドを思い浮かべられる方も多いと思いますが、他にも状差しやペン立て、小箱、家具など、たくさんの優れた製品があります。
 今回紹介させていただく運び盆は、以前勤めていたお店でも使わさせていただいていました。長年使ってもびくともしない丈夫さ、使い勝手の良さを実感して、個人的にも2年程前に手に入れ愛用していて、やはり良いと日々感じています。
 「使いやすく、美しく、丈夫に。角は、まるくまるく、見えない所もていねいに。」という吉田璋也の思い、それを守り、作り続けておられる福田さんの手のぬくもりが伝わってくるお盆です。

 和でも洋でも良く合い、大きさにもよりますが、湯呑なら6〜8個、コーヒー碗皿なら4客くらいは運べます。
 お客さまがいらした際、お茶とお菓子、お手拭きなど、一度に運べてとても便利です。持ち手もまるく手に添うように作られており、縁の角度も絶妙で、たくさんのせても重さをさほど感じられず手も痛くなりません。その上、中にのせている器やお菓子が、まるで額に入れられたかのように美しく映えます。
 その様子は、あたたかくて力持ち、やさしくそっと周りを包んでくれる…、作り手の福田さんの笑顔と重なります。

 普段我が家では、台所の流しの後ろにあるカウンターの上に置いて、毎日使うカップなどをのせています。ごはんを作ったり、洗い物をしていても、ふとした瞬間に、背中に吉田璋也や福田さんの使い手に対する愛情を感じて、うれしくあたたかい気持ちになります。
 まだ、漆がつやつやとしていますが、これから使い込むうちにしっとりと馴染み、よりやわらかくまるくなっていくんだろうな…と楽しみです。