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フォーラムが選ぶ・この逸品

小鹿田焼 青地釉大皿

小鹿田焼 青地釉大皿

2012年11月 高梨武晃
製作地:大分県日田市

先日行われた秋月フォーラム。その際初めて行く事が出来た小鹿田皿山。そこで手に入れた逸品を紹介します。

 実は以前より手仕事フォーラム代表久野さんのご自宅にある一枚の大皿に私は心を惹かれ、いつかは我が手にも、と思っていました。

その一枚は小鹿田を代表する陶工、若しくは小鹿田そのものと言っても良い「柳瀬朝夫」さんの青地釉の大皿です。


 直径尺4寸(42cm)、透明感がある緑がかった青で、自由に伸び伸びと描かれた指掻きを内外の打ち刷毛目が締めています。

 そして今回私は出会うことができました。朝夫さんは自宅からちょっと離れた山の中に倉庫兼小屋を持たれています。

その中には少し前に作られた物が保管されているのです。そこにこの青地釉大皿があったのです。私は小躍りし、喜び求めました。


 まずはなんといっても青地釉の美しさに目が行きます。まるで薪の窯で焼かれた事をアピールするように、溶けた釉薬から火の勢いと流れが見えてくるのです。

それが一つの柄になり深みを与えているように感じます。そしてそれを受け止める正確な器形。きちんと止められた縁や見込みにかけての緩やかなカーブからは、手慣れた技による数多の繰り返しの仕事ぶりを想像させてくれます。

 久野さんによればこの青釉の色を今出すのは非常に難しいそうです。藁灰と炭酸銅を主原料とする青地釉は小鹿田では融けにくい為、火の強く当たる登り窯の8袋のうち、1〜3番目の袋に入れます。

1番目の袋は火も強く安定しないため完品で焼き上がるのは少ないのです。その上青地釉は融け不足が多いので黒くなりやすいのです。更に「35年ほど前から青地釉の色調が変わったんだよ。」と久野さんは言います。その頃から化学農薬の影響からか藁灰の質が落ち、これまで使っていた不純物の多い炭酸銅が進歩によって純度も上がり均一的なものになってしまったそうです。

 では何故この大皿は本来なら失透する青地釉が透明感のある青色になったのでしょうか?様々なことの影響が考えられますが、一番は朝夫さんのおおらかな性格によるものではないでしょうか。

釉薬の配合が偶々違ったのか。はたまた混ぜた釉薬の上澄みに近い薄くなった釉薬を掛けてしまったのか。釉薬の調合に振り向きもせず気にしない朝夫さんがいて、一番目の袋の強い火によって偶然生み出されてきたように思います。

小鹿田土着の人と小鹿田の自然な窯が作り上げた、正に小鹿田そのものといっていい逸品と思いました。