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日置の箕

日置の箕

2013年3月 高梨武晃
製作地:鹿児島県日置市

2013年始め、私は一つの目標を立てました。

それは日本民藝館の蔵品にもなっている二つの箕が作られる現場に行き、

作られる背景を知りそして手に入れることです。

一つは岩手県一戸町で作られているニギョウの箕。

そしてもう一つは今回逸品として紹介する鹿児島県日置市柿の谷で作られる箕です。

南北1300km以上離れたこの二地域で作られた

素材は違えども同じ馬蹄形の形、

穀物を振るうという同じ用途の道具。

そこに強い興味を持ち、更に見比べることに因って、

大袈裟ですが日本人の工藝に対する本質が垣間見えるのではないかと思っています。


今回手仕事フォーラムの薩摩の旅に参加させていただき、

この日置の箕を手に入れることができました。

まず私の目を引いたのは等間隔で並んだツヅラです。

これはキンチク竹と桜の皮で編まれた胴体を持ち手である曲げた枇杷の木とを括る為のものです。

更にそれは実際穀物を振るう時には滑り止めの効果もあるでしょう。

それらの目的の為に必然的に並んだ所に美しさを感じます。

更に持ち手の二本の枇杷の木が吐出口の所では縦に並んでいますが

中心部に向かうに従って横並びになって行きます。

そのねじれが曲面を作りキンチク竹の結び目がまるで生きているかのように動的な線を作ります。

整然と丁寧に編まれた胴体に、流れるような持ち手部分が加わることに因って、

使う人にとってはあくまでも道具に過ぎない箕にエレガントな品格が備わっているように思えました。

この箕を作る為には竹(キンチク竹)、樹皮(桜の木の皮)、木材(枇杷の木)、蔓(ツヅラフジ)と山野に自生する様々な材料を適材適所に使い分ける必要があります。

採取できる場所、時期もそれぞれ異なり、山野を熟知した方々の集大成がこの箕だと思います。

正に編組品の王様として紹介させて頂きます。