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小鹿田焼 坂本浩二窯でつくられはじめた伏せ合わせ深皿

小鹿田焼 坂本浩二窯でつくられはじめた伏せ合わせ深皿

2014年8月 久野恵一
製作地:大分県日田市

 坂本浩二君が25歳のときですから、もう22年前のこと、色んな注文を彼にしていたなかで伏せ合わせの皿がきっかけでしばらくこの手のものつくっていました。
伏せ合わせというのは九州ではハマグリ合わせ、一般には重ね合わせとも呼ぶ、とりわけ薩摩苗代川焼の黒物(くろもん)で量産するために用いられた窯詰めの手段です。
縁の釉薬を抜いて、縁どおしを合わせるので形がまるでハマグリのようになります。
それでハマグリ合わせという名称になったようです。

この皿の形状は平たい皿でなく深皿でなくては出来ないのが制約されています。
また2枚合わせたことで空間が広がり、皿の内側が密封され、焼成すると必然的に不完全燃焼となり還元炎になりがちです。
わりと変形しにくいため、小鹿田でいえば1番、2番の火前に置くのにつごうが良い焼き方ですが、小鹿田で以前からこの窯積み方法はありませんでした。
薩摩苗代川の黒物に伏せ合わせの皿、鉢などにあり、それをアイデアとして私が小鹿田でやってもらうようになったのです。
最初は坂本茂木さんにつくってもらいました。彼の窯焚きは粗焚きのため、1番窯(アンコウ窯)では火が暴れるので、これまでは皿の歩留まりがよくありませんでした。この方法を取り入れていれると破損が少なく、還元がかかると極めて焼き上がりのよいものがとれることとなり、楽しみの一つでした。
代替わりし、息子さん時代になると、茂木さんのような荒い焚き方をせずじっくり焚くので、逆にこのようなものが出来にくくなります。この良さを知っていた私は浩二君に依頼してつくってもらったのですが、縁に釉薬が無いのがどうやら一般受けはせず、販売が滞りがちです。そのためここずっとこの手の注文はせず、むしろ忘れてしまったといった方がいいのかもしれません。しかし最近ではイギリススリップの真似をするつくり手も多く、この伏せ合わせも有効と思い、久しぶりに一つの技法として取り入れてもらい、つくってもらいました。
飴釉が還元がかるとこのような発色になり、勢いのいい小鹿田そのものの力みなぎる皿が出来上がります。