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2皿の小鹿田焼をめぐる話

2皿の小鹿田焼をめぐる話

2015年9月 坂本光司
製作地:大分県日田市

数年前、鎌倉もやい工藝での手仕事逸品の会で、小鹿田焼の切立の鉢がでたことがありました。
サイズは尺で、飴釉に抜き飛びカンナがほどこされてます。
陶工が抜き飛びカンナをはじめた頃のもので、素朴で力強く、とても良いものでした。
すごく欲しかったのですが、平日からの開催で行けず、手仕事フォーラムメンバーの高梨武晃さんが手に入れました。
その後、久野さんに会う度に、「どうしても欲しかった」「悔しい」などと強い思いを伝えてました。

(写真提供:高梨武晃さん)

しばらくして、久野さんから写メが送られてきました。見てみると、小鹿田焼の切立の鉢が写ってます。
同じ陶工によるもので、サイズも尺で同じですが、打ち刷毛目で、中央に指描きがあるものでした。

(実際に久野さんから送られてきた写メ)

久野さんと電話で話すと、昔、久野さんが他の民芸店へ卸したものが、まだその店に残っていたそうです。
久野さん曰く、「あの皿(飴釉に抜き飛びカンナ)のような力強さはないが、また違った、落ち着いた静かな良さがある。俺が選んでるのだから、間違いない」とのことでした。
確かに、陰と陽のような2皿です。それぞれの良さがあり、美しさがある。
私はすぐに手に入れました。

よく見てみると、打ち刷毛目は、まるで生き物のように躍動感がありいきいきとしてますし、指描きは、のびのびとしています。
おおらかで、やわらかい。
あの「悔しい」という気持ちがなければ手に入らなかった皿でした。
「欲しい」という強い気持ちが久野さんに届いたのでしょう。
思い出深い2枚の皿の小鹿田焼です。