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学習会・イベント報告

「 福島市民家園 」 久野恵一さんの暮らしの道具・手しごトーク 南東北の手仕事

「 福島市民家園 」 久野恵一さんの暮らしの道具・手しごトーク 南東北の手仕事

仙台フォーラム「稲と手」の熱気がまだおさまらぬ10月29日(水)に
福島市教育委員会の主催にて久野恵一さんのお話し会が福島市民家園にて開催されました。

 

 

 

福島市民家園は、吾妻山の眺望も美しい福島市郊外のあづま総合運動公園内にあり、その広大な敷地には民家園のほかに、公園や体育館、プロ野球の試合も開催される野球スタジアム、天然芝のサッカーグラウンド、それから小谷真三さんもご指導のために訪れられたことがあるというガラス工房が併設された工芸館など様々な施設が点在しています。


 

 

 

 

 

 

 

 

福島市民家園は約30年ほど前に開園した公共施設で、園内には江戸時代中期から明治時代中期にかけての福島県県北地方の民家を中心に、芝居小屋、宿店、料亭、板倉、会津地方の民家等が移築復原されています。また、森や池、田んぼなどの環境復原も可能な限り進められ、民家園内には民具を展示した施設などもございます。10月下旬からは園内一部の古民家にて萱の葺き替え工事も行われておりました。素晴らしい施設でありながら、地元の福島市でもあまり知られた施設ではなく、とてもマイナーです。そんな福島市民家園ですが、「民家園内の森などの雰囲気も含め、全国的にみても素晴らしい場所」と、久野さんの太鼓判もいただきました。


 

 

 

 

民家園内の休憩所を会場に、「 南東北の手仕事 (かご) 」と題された今回のお話し会。仙台フォーラム「稲と手」でも展示のあった福島県郡山市の熊田三夫さんの注連飾りのお話から始まり、雪国の手仕事、民具と民藝の違いや民俗学と民藝の違い、それから山形の佐藤栄吉さんの山葡萄の手さげかごの製作風景の映像が流され、久野さんが30年以上愛用されている山形や会津の山葡萄の手さげかごなどを手に、どういったところに注目して良いものを選べばよいのかのポイントなどをお話くださいました。
主催が福島市教育委員会ということもあり、お話し会の告知が市政だよりにも掲載され、それをたまたまご覧になった福島市にお住まいの久野さんの学生時代のご友人の方もご参加くださり、25、6数年ぶりの再会となったそうです。
お話し会には平日の午後にもかかわらず定員越えの30名ほどの参加者にお集まりいただき、熱心に久野さんのお話に耳をかたむけて下さり、盛会に終わりました。


 

お話し会の後、主催者の福島市教育委員会の方も交え5人で市内の居酒屋にて打ち上げ。
打ち上げにもかかわらず終始、民家園のことや福島のことについて活発に意見が交わされました。
福島県内外でも有名な観光地となっている南会津の大内宿については、震災前は年間120万人の観光客で賑わうまでになりました(震災後は〜70万人程にまでに回復)。
久野さんは学生時代に大内宿の重要伝統的建造物保存地区の選定に際し、69〜70年頃の当時、
調査に直接関わられていたことを私は少し存じておりましたので、その当時の事をさらに詳しくお聞きすることができ、福島に住む者たちとしては地元とことをさらに深く知ることができ、打ち上げも貴重な時間となりました。
大内宿といえばネギ蕎麦(ネギを箸のかわりに使い蕎麦を食べる)がとても有名ですが、
「 調査当時、ネギ蕎麦はあったのですか? 」と、久野さんにお聞きすると、
その返答に一同「えぇーーーーーッ!!」と、そんな一幕も笑。
 
「 大内宿は発見されたんだよ。 」という久野さんの言葉も印象に残るものでした。
時代は高度経済成長期の真っ只中、ただ古いだけの場所と地元ですら話題にもならない忘れられていた当時の大内宿。
当時の宿場町がそのまま出現したような貴重なその場所を次の時代に残さなければと気がつき、活動をして下さった方々がいたからこそ、大内宿は残り、いまや福島県の重要な観光資源の一つになっているのだと改めて感じました。
しかしながら、近代的な町へと生まれ変わりたい大内にとって、当時は保存に対する地元の反対もとても大きかったという。
大内宿の保存には久野さんの師事された宮本常一氏も大きくかかわっておられたそうですが、
「人の見残したものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。」という氏の言葉が聞こえてくるようでした。
 
急速に変わりゆく社会の中で、自然と人とのつながり、地域社会の歴史風土と長年の技術的伝統によって成り立っている本物の手仕事を守り育て、多くの方々にその素晴らしさを知っていただく手仕事フォーラムの様々な活動は、これから先の将来も、社会の中でさらに重要な役割を果たしてゆくのではないのかと、あらためて強く感じた一日となりました。


手仕事フォーラム会員 渡辺大介