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手仕事調査:九州地方

南薩摩の風景1

南薩摩の風景1

2006年7月30日
訪問地:鹿児島県美山(苗代川)地区

加治木町の風景を代表する場所が蔵王岳と龍門滝です。龍門滝は高速道路から鹿児島方向に向かうと丁度真正面に見えてきます。この滝はむかし唐から来た人が故郷の龍門の爆を見ているようだと言ったことから龍門滝と名づけられたといわれています。鹿児島のこの地で大陸との交流が千年以上も前から行われていたことには驚かせられます。時代は下がり1598年に朝鮮半島から渡来した朝鮮人陶工もこの滝をみて郷里の大陸を懐かしんだのかもしれません。巾43m落差46mの滝は水量も多く、滝からの飛沫が心地よく気分を新たに南薩の旅へ出発です。

最初に訪れた場所は美山、かつて苗代川と呼ばれていました。緩やかな起伏のある道を走り続け、匠の里美山の案内看板を過ぎると道沿いの風景が次第に竹林ときれいに刈り込まれた生垣が多く見られるようになります。久野さんが見せたい物があると生垣の脇に車を止めました。

下車した所からイヌマキの生垣が路地の両側に整えられ、まっすぐに奥の腕木門へと来客を誘導します。門前の階段部分に玉物の植え込みがあり路地巾が狭くなります。来客者はここで一度気持ちを整えなさいと家人が言っているような印象を受けました。腕木門は軒の出も長くどっしりと構えています。壁は矢羽張りの板壁と腰壁の下見板張りで造られ、漆喰塗りの壁ばかり見ている北陸の人間にとっては異国の風情を感じます。
九州では門から住宅の玄関が見えないようにアプローチを造るのが伝統的な家の造りであることは前回の川原さんの自宅でも見せてもらっていましたが、美山が朝鮮から渡来した陶工が作り上げた町だとすると目の前には朝鮮の面影を残した風景が広がっているのかもしれません。

手仕事フォーラム 吉田芳人