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手仕事調査:九州地方

日奈久温泉の竹細工

日奈久温泉の竹細工

2012年7月4日
訪問地:熊本県八代市

“日奈久温泉”は、熊本県下で最も古い歴史を持ち、江戸時代には細川家の藩営温泉でもあった由緒ある温泉場です。その日奈久へ行く機会となったのは、竹細工の制作者を訪れる為でした。

現在はそうではありませんが、昔といえば温泉場に竹細工屋は付き物で、それなりの規模の温泉場には必ずと言っていいほどに数軒あったようです。何故かと言えば、当時は湯治客のお土産として竹細工が多く求められ、周辺の生産地から必然的に集り、そこで一手に販売されていたようです。代表的な例としては、大分県の別府温泉がそうであるように、別府では今でも竹細工が有名です。主に農業に携わる湯治客が、お土産に竹製の農具を求めたようです(今のように贅沢品ではなく、実用的なものをお土産として求めていたことが、興味深いです)。

日奈久を訪れたのが平日であったので尚更かもしれませんが、お世辞にも町は賑わっている感はなく、地元のお客さんがちらほらと日帰り湯に来ているような程度です。そんな静かな町の中で、当時の賑わいを連想させるかのような古い建物が目を引きます。

今回も手仕事フォーラム代表の久野さんの旅に同行させて頂いたのですが、訪れたのは久野さんが数十年来のお付き合いのある竹細工店で、久野さん自体もここを直接訪れるのは久々のことでした。実は、長くお世話になっていた先代がつい数か月前にお亡くなりになられたとのことで、またしてもの出来事です。私の数少ない現場調査でも、そのような出来事は竹細工を中心にした編組品の現場で目立ちます。

とは言え、こちらは先代のご子息(当代)が家業を継がれ、自らも竹細工をする傍らに、周辺の下請けの仲介や、他地域からの仕入も含めて、竹細工店を現在もしっかりと続けられています。店内を見回すと、様々な形状・用途の竹製品が並べられていますが、地域性を感じるものは残念ながら数多くありません。他地域でもよくあることですが、安価な外国製の竹細工も混ざって販売されています(様々なニーズがあるので、それはそれで・・)。

日奈久温泉はすぐ近くに八代海を望めるような立地にあるので、農具はもちろんですが漁具としての竹細工も発達したと考えられます。こちらの手提げ籠も、どちらかと言うと漁具としての用途と取れるような造りでもありました。また竹箸も良いものが取れるとのことで、実際に手に取ると確かな造りが伺えました。

 

手仕事フォーラム 鈴木修司