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手仕事調査:沖縄地方

北窯 松田共司さん

芭蕉布

2006年5月19日
訪問地:沖縄県読谷村

 松田共司さんは、沖縄県読谷村北窯の4人いる親方のうちのひとりです。沖縄の地域に根ざした、伸びやかで力強い器づくりをしています。
「薪窯が全てを決める」と共司さんは言います。13房もある大きな薪窯を焚き続けるには、陶土の作り方、器づくり、薪わり、そして窯焚きまで、北窯全員が協力する、沖縄の言葉でいう「ゆいまーる(助け合い)」の精神が必要になります。その精神を大切にしながら、工芸の力強さを失わない沖縄の伝統的な器づくりを目指しているのです。

 

■原材料について
松田共司さんは、すべて地元沖縄の陶土を使い、釉薬もコバルト以外は沖縄の鉱石や土を自家調合しています。土は北窯に合わせた配合で混ぜ合わせ、水で漉し、鬼瓦ひとつひとつに盛って天日に干すという工程を経て陶土になります。

■ 「生がけ」
沖縄の薪窯では素焼きをしません。これを「生がけ」と言います。素焼きをせずに自然乾燥させるのです。沖縄の強い太陽の下では、陶土がすぐ乾いてしまうために、乾燥具合にはかなり細やかな神経が必要とされます。乾きすぎるとヒビや割れの原因になるからです。
工程としては、ろくろ引き→乾燥(天日干しもあり、その場合は10分くらいを目安としている、縁が乾くと化粧土がのらない)→化粧土をかける(内側)→乾燥→削り→化粧土をかける(外側)→乾燥→透明釉をかける(外側)→乾燥→絵付け(窯入れの10日前)→窯入れという順番です。
共司さんは生がけの方が素焼きをしたものより、柔らかさが出るので好きだそうです。

■ 窯焚き
北窯では、まず薪口を18時間くらいかけて焚き、1房目は3時間くらいで2房目からは3時間半から4時間くらいかけて焚いていきます。炎の色が赤→オレンジ→レモン色→白(1250℃〜1280℃)になった時点で、器の色見をして、4日間置いて冷ましてから窯出しをします。
北窯は4人の親方の共同窯なので、親方各1人につき3房が割り当てられます。薪窯はどの場所で焼成するかによって、焼き上がりが違うので、割り当て方は、不公平がないよう順番に回るようになっています。
房の中に入れる「さや」は、炎をコントロールするために薪を入れる「格子」と陶器の間に重ねます。この配置によって炎が天井を伝わって、房の中をひとまわりすることになります。薪窯は手入れも重要です。「フリもの」がでないように、器の高台に塗るのとおなじ「マエガニコ」という白土を塗ります。これだけの労力を使い、年間5回薪窯を焚き続けているのです。
松田共司さんのお弟子さんの殆どは、内地出身者です。共司さんは、沖縄の伝統的な作り方や助け合いの精神を継承してくれるのであれば、出身は関係ないと言います。そんなおおらかさも北窯の魅力を増しているような気がします。
沖縄の器は、素朴であたたかさがあり、型にはまらない伸びやかさが素敵です。
実際に北窯を訪ね、松田共司さんのお話を聞き、製造工程を見ると、なぜそんな器が生まれるのか、わかるような気がしました。

手仕事フォーラム 小林こりん