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手仕事調査:沖縄地方

喜如嘉の芭蕉布

喜如嘉の芭蕉布

2015年3月11日
訪問地:沖縄

沖縄手仕事学習の旅にて、「喜如嘉の芭蕉布」の制作場、芭蕉布会館に訪れました。
現在でも20名のメンバーで一年に130反制作しています。
産業革命以前のやり方で紡いでいるのはこの芭蕉布会館だけだそう。

さかのぼること15世紀、琉球で製作が広まった芭蕉布。
琉球王国が盛えていた当時、高級品だった芭蕉布は中国や日本本土への貢ぎ物に、
さらには庶民の普段着にも使われていたそう。
高級だからこそ、一着一着丁寧に長く着用していました。

芭蕉布会館そばの芭蕉が生い茂る糸芭蕉畑です。その広さ約二千坪。

人一人通れるくらいの通り道しかない、ひとりだと迷い込んでしまいそうな空間です。


芭蕉の成長にかかる時間は約三年と長く、さらに年に三〜四回手入れを必要とします。

材料となる芭蕉から丹精こめてお世話をする。

つい休みたくなってしまうくらい過酷な作業だそうですが、成長の姿にじっくりと寄り添うことが一本一本の芭蕉布への愛しみにつながっているのかもしれません。


秋から冬にかけての切り倒しを「ウービォ」といいます。

切り倒した芭蕉布の中でも使うのは表面の薄皮(ウー)だけ。固さによって芭蕉布の糸としての用途がかわるんだそう。


その後、木灰汁でじっくりと煮て、糸を柔らかくし、

ウーを竹ばさみで何度もしごき、光沢を出し、一本の糸にしてつなげ、一つの糸束に丸めます。

一本に結ぶ作業は結び目が目立ってもいけないし、切れてしまっても形が崩れてしまう、布全体の仕上がりに影響を与えるとても繊細で重要な作業です。

その際も、織り上がる模様を常に頭で計算しているそう。


工程は文字にすると簡単ですが、一本の糸になるまでは

とにかく 何度も 何度も の連続。


「どこか簡単にしてしまう(手間をはぶく)と、どこか一つが崩れると全てが壊れてしまう」。

何世紀もの芭蕉布の歴史を一挙に背負っている、そんな重みが作業の工程の手間暇を守り、芭蕉布の風合いと伝統を守っています。


その後「擦り掛け

という工程で糸を引き伸ばし、強度を強くしてから、成型を始めます。

成型後、木炭汁に再度漬け込み染料に染まりやすくします。

染料は琉球藍と想思樹の二タイプで、なんと樹の伐採も自ら行うそう。かなりの重労働です。


いよいよ織り作業。

織り工房は作業の妨げになるため写真撮影が禁止です。

糸芭蕉は乾燥に弱いため、工房の中は湿度機で湿気に満ち満ちていました。


織れた布を湯呑で伸ばしたりひっぱったり、丈夫に丈夫に、仕上げていきます。


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織り工房の中で黙々と作業される、平良敏子さんにお会いすることができました。

言わずと知れた、琉球時代の芭蕉布技術の復興に尽力された方。

90歳を越える今でも精力的に製作の作業を担っていらっしゃいます。

竹ばさみで芭蕉糸に光沢をだし、結ぶ工程でしょうか。

じっと芭蕉糸を見つめて、手を動かし続けています。

身体が覚えているのであろう狂いのない動きで、芭蕉糸を強くたくましくしています。

一度はなくなりかけた芭蕉布を、並々ならぬ努力で復興まで実現させ、

こうして今も、じっくりと織り続けている敏子さん。


何度も何度も、諦めずに続けていくこと。


芭蕉布は人の手が欠けていては決して生み出されない、手仕事の織物です。

出来上がった芭蕉布に触れた時、手仕事にしか生み出せない豊かさを知り、

幸せな気持ちに満たされました。

 

手仕事フォーラム 樫田那美紀