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手仕事調査:東北地方

秋田楢岡焼窯出し

秋田楢岡焼窯出し

2009年11月4日
訪問地:秋田県大仙市

11月4日、窯出し間もない楢岡窯に遅ればせながらやって来ました。
実は前日に九州から戻り、午後8時に車で出発し約五時間半で岩手県北上市に到着。宿泊して今朝早くこの時期には思いもかけない寒波襲来の秋田に入ったのです。
窯主との約束もあり、久しぶりの登り窯の窯出しもあって、なんとしても来なければと。

窯出し結果は、全体に焼き上がりはまずまずといったところながら、かなり歪みもあり歩留まりは7割ぐらいでしょう。
まず、今年度の日本民藝館展への出品物を選び出します。
(上段が潮作、下段が父哲郎氏作)
民藝にかかわる立場として、この時期にはこうやって楢岡窯と20年も続けてきました。

今では後継者の潮君も一人前となり、優れた能力を持ちながらも工人の道をたどる彼の方向に、協力できるのも嬉しいことです。
そして、今月中旬から我が「もやい工藝」で企画した秋田手仕事展に出品するものも選んでいきます。
同時に仲間の工芸店から依頼されたのぶんも選んでいきます。そんな中より、さらに焼き上がりと微妙な出来の趣きのある五点を引き抜きました。これは「シルタの逸品」のためのものです。そのうちホームページショッピングに出てきますのでご期待ください。
窯出し選品が終了し、後の仕入れに訪れる人達の為に、再び製品を整然と並べなおします。これはどこの窯場でも見受ける風景で、来窯された方々に既に窯出終了ではなく、新たに製品類が出されて仕分けがスムーズにできるようにしておくのです。

手早く、潮君は済ますと、今度は隣室の工房に移り、やおら大バケツに入った釉薬を撹拌し始めました。ときおり水を注入します。
楢岡焼の基礎となる釉薬は藁の灰。よく知られるように、完全に灰に帰するのでなく、黒色気味になる程度の灰を主とし、男鹿半島寒風山から採れる長石と雑木灰が原料なのです。
雑木は楢の木、楢岡だからというわけではありません。この楢の木の灰が、この窯の特長でもある海鼠釉に影響を与えることは父・哲郎君から今日はじめて教えてもらえました。この楢の灰は、藁灰のように自前でこしらえるのでなく、 ある入手経路があり、そこの生成過程で厄介な成分(オイル)が含有されているのだそうです。しかし、窯主・小松哲郎君は難解な灰づくりを優れた知識でいとも簡単につくりあげました。
もっとも、この話は企業秘密とのことで、ここでは公表しませんが、私にはまた大きな知識を得ることとなったのでした。

手仕事フォーラム 久野恵一