手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

ホーム>手仕事調査>東北地方>青森県岩木山麓 ここでも80歳になる老婆の手による優れたあけび蔓細工

手仕事調査:東北地方

青森県岩木山麓 ここでも80歳になる老婆の手による優れたあけび蔓細工

青森県岩木山麓 ここでも80歳になる老婆の手による優れたあけび蔓細工

2013年3月31日
訪問地:青森県岩木山麓

 3月31日、「民藝の教科書C かごとざる」一昨日山形県鶴岡市の本間和子さんのあけび蔓細工を取材した後、翌日は東蒲原郡上川町のかの有名な江川宗夫さんの樹皮細工の取材し、さらに会津三島町の樹皮やマタタビの製品集めをして、青森県弘前市まで直行しました。
 今朝方あけび蔓細工取材として弘前市内を回り、最初に販売力旺盛な宮本工芸を訪ねました。あけび蔓細工の継承を考えると、このような企業的な立場で継続させることもある意味では必要と考え、現在の方向性はともかくとして取材しました。
 次に伺ったのは数年前まではあけび蔓の製造販売の主流だったみかみ工芸。代替わりした女性オーナーに案内され、岩木山麓であけび蔓専門の80歳になる老婦人を取材しました。

 同年代の本間和子さんに比べるとやや老人という雰囲気でしたが、仕事ぶりを見ると、極めて丁寧で材料の吟味の仕方や揃え方などこの方のセンスを感じました。

小松編み

半割

半割を鉋で削ぎ軟らかく鞣す

半割の蔓で畝編み

もり縁

 1本1本の揃え方や構成の仕方も新たに自分なりの意匠をいれてみたりで、単に一職人というよりか、この人の才能というものによってまた新たなカゴの創作にも繋がるようなつくり手かもしれません。「みかみ工芸」は近年までは青森県内のカゴ製造販売では中心的な役割を果たした卸会社でしたが、優れたお抱えのつくり手が亡くなられ、あるいは去った人もあり、現在では宮本工芸が主流となっています。しかしオーナーの筋道はしっかりしていて、その仕事を継承する人が少ないのが残念です。
 優れた老婦人の仕事もあと何年かと思いますが、これまで青森県のあけび蔓には目を向けなかった私もこのような作り手に接してみると、私でも欲しくなるものがありました。

 

手仕事フォーラム 久野恵一