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手仕事調査:東海・近畿地方

赤楽

赤楽

2004年5月13日
訪問地:愛知県瀬戸市

 愛知県の瀬戸地方で盛んに作られていた伝統的な赤楽(赤楽といっても楽焼の楽とは火度も釉の種類も異なる)を探し求めて、近年に作られた赤楽の飯茶碗を頼りに瀬戸へ向かった。
 赤楽は瀬戸市内でも赤津地区と品野地区で生産されていたが、成分の違いからか赤津と品野の赤楽は少し色合いが異なる。手にした見本品の赤楽は品野地区で制作されたものと推測できたので品野へ調査に出かけることにして、そこで製作者の加藤さんに会うことができた。
 日本一窯場が密集した品野地区には今でも昭和中頃の窯場の薫りが感じられる。迷路のように入り組んだ道はよそ者を拒むかのよう。思わず写真に撮りたくなるような雰囲気を持った窯場である。
 この地で代々窯業を営む加藤さんの話では、瀬戸でも伝統的な赤楽の麦藁手や木賊を手掛ける窯元は殆ど居なくなったという。まして、天然の赤楽の釉を使うところは地元瀬戸でも貴重な存在に成りつつあるということだ。
 生地になる土は近くの山から掘っていたが、宅地開発や採土層が変わって安定した原料が得られなくなり、現在はやむなく美濃の土をベースに独自の配合で作ってもらってい、作品にあわせ数種類の土を使い分けている。赤楽用の釉薬原料も今では採掘できなくなり、手持ちの原料もあと何年持つかわからず、赤楽を分かって貰える人のためだけに少しずつ使っている状態にある。
 最盛期の瀬戸は「白い川の白い町」と言われ、粘土の混じった水を垂れ流し、煙突から煙を吐き、窯業の工業化を進め、24時間稼動のトンネル窯で輸出用陶器を量産し続けた。現在その多くは外国の安価な製品に押され廃業に追い込まれている。こうした中にあって、道路事情の悪さが品野地区の工業化を拒み、そして土地の風土が加藤さんのような志のある作り手を守り、育ててきたのだろう。
手仕事フォーラム  上砂 雅彦

飯碗
製作場
出来上がった器を持ち帰り、
早速料理を盛り付けてみました。