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手仕事調査:東海・近畿地方

土鍋と行平

土鍋と行平

2004年5月14日
訪問地:三重県阿山郡伊賀町

今はガスがまになりましたが
5,60年前までは登り窯で土鍋と
土瓶を作っていたそうです。
 ここ数年、土鍋で炊くご飯の美味しさが見直され、百貨店の店頭や通信販売会社の広告でもご飯炊き用の土鍋が随分紹介されるようになりました。
 この日訪ねた製陶所は、そのようなご飯炊き用土鍋や煮込み用鍋、またおかゆを炊く行平(ゆきひら)を、大きな陶苑の下請けとして大量に製作しているところです。
 昨年の夏、フォーラムメンバーがよい土鍋を作ることのできる窯元を探し求めて伊賀を歩き回っていたところ、某・大陶苑の裏にて捨てられていたダンボール箱に貼られていたラベルを見つけ、それからすぐに車を飛ばしてやっと見つけた土鍋づくりのできる製陶所がここなのです。
急な坂を下り、倉庫のような建物に足を踏み入れると山のように積まれた土鍋の向こう側から製陶所のご夫妻が出てきました。

鍋を見ながらの話し合い。
ぷっくり美しい土鍋に、
すっきりとした角型ハンドルを
付けてもらいました。

昭和の初め頃と比べて最近は、土鍋を過熱した際に入るヒビがやたらと使用者から嫌われる傾向にあります。不良品であると認識されるのです。しかし、元々土鍋はヒビが入るもので、入ったからといって使用することに支障はありません。多くの窯元は、ヒビが入るというクレームを避けるためにペタライトというオーストラリアで採取される鉱物の粉を土に混ぜるようになってきたそうです。これを入れると、確かにヒビは入りにくくなるのです。しかしよくないこともあります。製陶所の方が実際に試したところによれば、例えばご飯を炊いた際に、ペタライト入りの土鍋ではご飯にべたつきが出るそうです。  そのヒビについての説明がうまくできて理解されるようになれば、伊賀近隣で採れた土のみによってできた土鍋が食卓をもっと美味しくしてくれるはずです。土鍋のヒビのように、手仕事の品には近年になって理解され難くなった事柄が多いように思いますが、こうした手仕事の本来の姿を伝えることも私たちフォーラムの役割かも知れません。  手仕事フォーラムHPでは、この製陶所でつくられた美しく美味しい土鍋について紹介していく予定です。

 

手仕事フォーラム 武井治美