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手仕事調査:東海・近畿地方

伊賀丸柱青土瓶

伊賀丸柱青土瓶

2004年6月05日
訪問地:三重県阿山郡阿山町丸柱

 ふっくらとした胴に、短めの注ぎ口。上にかけられた緑釉の深い白緑。存在感がありながらもどこか愛らしい伊賀丸柱の青土瓶。今ではもう作られなくなったと言 われていたこの煎じ土瓶を現在の丸柱に見つけました。

 

 フォーラムメンバーが最初この陶房を訪れたのは今年三月のことでした。山と田んぼに囲まれた道を車で走っている途中、たまたまちょっと入ってみようかと立ち寄った陶房で、まさに、伊賀丸柱・青土瓶の形を見つけたのです。目にした時には 、今でも丸柱にて昔ながらの形が作られていることに随分と驚き喜んだものでした。その土瓶の上釉は、飴釉でチョコレートのような色であり青土瓶の色ではありませんでしたが、これもまたこっくりとしていてよいものです。
 この飴釉の土瓶を作っていたのは、30代の男性でした。代々この土地で焼物づくりをしてきた家を継いでいる方です。どうして今ではもう作られなくなったと聞いていた青土瓶のかたちが、今、ここにあるのかという驚きの答えはこの男性の好んで行っていることの中にありました。家の裏などから古くに捨てられた焼物の欠片を掘り出してくるのだそうです。そうして、掘り出してきたものの形をよく見、今のものに生かしているとのことでした。

 

復活された青土瓶の
かたちが並びます
青釉を使った土鍋も試作中です。
釉薬をたっぷりかけると色に深みは出るが、
たれてきてしまう。昔と、釉薬が違うため
調整がなかなか難しいようでした。

 

 フォーラムメンバーの久野はどうにか青土瓶を復活できないかと喜びと共にお願いをしました。そうして、6月にその第一弾が出来上がってきたのです。最近では青釉の中に入れるワラ灰の原料に中国からのものが使われているそうで、なかなか以前と同じような色は出ないとのことでしたが形はやはり美しく、色も使っているうちに深みが増す色のように思えました。
 
 伊賀丸柱の青土瓶は元々煎じ土瓶として使われていたものです。製作者の男性は、家の裏で掘り出された昔のものと同じように煎じ土瓶として製作しており、火にかけることができるのでそのように使って欲しい、と言っていました。
 焼物を作る際の土や釉薬として、以前のような原料が採れなくなったという問題はあります。しかし、そのような中でも粘土づくりやく釉薬づくり、かたちの研究をし、今作ることのできるよいものが存在する、製作者がいるのです。なんだかこれは、私もやる気が出る出来事でした。


手仕事フォーラム 武井治美