手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

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手仕事調査:東海・近畿地方

土鍋 再び

土鍋 再び

2009年6月5日
訪問地:三重県阿山郡阿山町丸柱

 手仕事フォーラムは2003年以来、伊賀丸柱の三つの窯元と関わって、土鍋の新作づくりに取り組みました。そして、04年の調査レポートでは名を伏せて紹介されている「松山製陶所」の深土鍋など3種、「青土瓶 その後」でご紹介した「やまほん陶房」山本忠正さんによる土鍋、「カネダイ陶器」大矢 正人さんの行平鍋など、が完成しました。

 

 

 いずれも、これまでからつくられていた土鍋を少しずつ改良したもので、対火度の高い伊賀の土を用い、シンプルで、使いやすく、丈夫で、手頃な価格の品物です。この3軒以外に、伊賀丸柱には土鍋づくりの窯を中心に十数軒がありますが、この中で、土鍋「作家」として名を馳せるのが「土楽(どらく)窯」の福森雅武さんです。故白洲正子さんや糸井重里さんら著名人との親交が深いことでも知られ、メディアも味方にして、高いものでは4万円台(!)という高級土鍋 をヒットさせました。手仕事フォーラムと方向性は違いますが、今回、初めて土楽窯にもお邪魔しました。

 

桜が満開のお稲荷さんを目印に国道を外れると、山を背に、田畑に囲まれた立派なお屋敷があります。大きな敷地に、よく手入れされたお庭。2本の煙突がそびえ立つ陶房の前には、焼成前の土鍋がずらりと天日干しされています。100個はあるでしょうか。片端から一つずつ、少しずつ向きを変えていかなけ ればならないそうです。

 

 

中では、職人さんが壁に向かい、黙々とロクロをひいています。福森さんが考案した土鍋や器を、数人でつくっていらっしゃいます。釉薬をかける人、窯を管理する人、荷造りをする人。黙々と作業を続ける横顔に、福森さんのもとで一体となって製作に励む誇りが滲んでいるようです。

 

ライフスタイルの変化、家族の少人数化、中国などの格安製品との競合など、多くの手仕事同様、取り巻く状況は易しくはないでしょう。それでも、「土鍋のような古臭いもんはもう売れない、やめてしまおう」というのではなく、現代の暮らしにも取り入れやすいよう工夫し、効果的に宣伝をし、使い手の心を 引きつける手法や、伝統を守り伝えようとする姿勢には、学ぶべきものがあると思いました。

 

(会員 大部優美)