手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

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伊予だより

内子の手仕事@ 和蝋燭

2013年9月11日
語り手:門田真記子(手仕事フォーラム会員)

民藝の教科書の取材に同行させていただき、大森和蝋燭屋さんへ伺いました。

 

愛媛県喜多郡内子町八日市の町並みに大森和蝋燭屋さんはあります。
内子町は川の合流地点で、旧街道の交通の要所でもあった為
古くは多くの市が立ち栄えていました。
中でもこの小さな町を繁栄に導いたのが木蝋産業です。

(櫨の実と生蝋)

 

櫨の実を搾って作られる木蝋は「生蝋」と「晒し蝋」とに分けられます。
「生蝋」は櫨の実を搾ったままのもので、緑がかった色をしています。
「晒し蝋」は「生蝋」をさらに精製して白くしたもので、生蝋よりも用途が増えます。(化粧品。医薬品など)
内子町はこの晒し蝋によって江戸時代から明治時代にかけて栄えた町でした。

現在では内子町の木蝋作りは途絶えてしまいましたが、
木蝋からつくられる和蝋燭作りを担う大森和蝋燭屋さんただ一軒が
当時の面影を今につないでいます。現当主は6代目の大森太郎さん。

 

大森和蝋燭屋さんの蝋燭は「生蝋」を使います。
晒し蝋より値段も安く、より庶民に近い生活用品として
内子の木蝋産業とともに江戸時代より代々受け継がれてきました。

 

炭火で40〜45℃に温めた蝋を芯にひたし、素手で蝋をすくって芯を回しながら
塗りつけていく生掛けいう作業。これを何度も繰り返すことで蝋燭が太り、その断面は年輪のようになります。

(のれんにもちゃんと年輪が描かれています)

芯も手作りで、竹串に紙と燈芯草(イ草の茎の髄)を巻き付け、真綿で留めて作られます。

仕上げに蝋燭の頭部を切り、芯をのぞかせ竹串を抜いて完成します。

和蝋燭は炎が大きくゆったりと揺らぎ、生きているかのようです。
眺めているととても心が落ち着きます。
観光客や寺社での需要の他、最近ではホテルのディナーで使われていたりもします。


大森さんが作業をする背後にはもう一台蝋鉢があり、子息で7代目になる亮太郎さん(26歳)が
座る場所なのだそうです。この日は定休日だったためお休みされていましたが、後日伺うと
大森さんの後ろで黙々と生掛けをする息子さんの姿がありました。

一番小さな5匁の蝋燭つくりは息子さんの仕事なのだそうです。
大森さんも以前は後ろに座り、父親の故・弥太郎さんの後ろ姿を見ながら仕事をしてきたのだそうです。

 

こうして、伝統のある手仕事がこの小さな町でこれからも火を絶やさず
受け継がれていくことを嬉しく感じました。