手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

ホーム>連載・手仕事レポート>地域レポート>伊予だより>内子の手仕事A 鉄の燭台作り

伊予だより

内子の手仕事A 鉄の燭台作り

2013年10月2日
語り手:門田真記子(手仕事フォーラム会員)

和蝋燭に欠かせないのはろうそくを立てるための燭台です。
6月に愛媛県内子町の大森和蝋燭屋さんを訪れた時に、
同じく内子町で鉄の燭台を作られている自在鋼房の児玉さんを訪ねました。

JR内子駅から徒歩2〜3分のところに児玉さんの工房はあります。
3代目になる児玉政輝さんはもともと野鍛冶で、
鍬や鋤など農具を専門にして来られました。
燭台作りは、昭和57年に内子町八日市の町並みが、
重要伝統的建造物群保存地区に指定された時に
大森和蝋燭屋さんからの依頼があって始められたそうです。
今でも野鍛冶の仕事と燭台作りは半々でやっておられるとのこと。
鋤はその土地の土に合わせたかたちになっているので、
隣町に行くとかたちが違うのだそうです。(3本鍬や4本鍬など)
現在は内子町周辺に残っている鍛冶屋さんは児玉さん一軒なので、
やはり需要があるのだとか。

工房の中心に置かれた炉からはコークス(石炭)の赤い炎が見えます。

 

直径1センチほどの丸い鉄の棒を熱し、たたきのばして成形していきます。
溶接をせず、ひと筆書きのようにかたち作るので継ぎ目がなくて丈夫です。


工房の2階はギャラリーになっていて、
様々な燭台が並べられてありました。それらはつや消しの黒い塗装を施してあり、
錆にくくするためでもあるのですが、久野さんはもっと鉄の風合いを生かしたものが
好みだとおっしゃいました。すると児玉さんが見せてくださったのはシルク仕上げと
呼ばれる方法。シルク仕上げとは、絹100%の布を焼けた鉄にこすり付けていく方法です

鉄が熱いので絹はじゅじゅっと音をたてながら大量の煙を出します。
その場に立ち込める獣のような独特のにおい。
蚕の動物性の脂が溶けて出てくるのです。
それを鉄にこすりつけることで自然な艶になり、鉄の風合いを生かした仕上がりになるのでした。

 

 

現在は、次男の淳平さんも4代目として仕事をしています。
大森和蝋燭屋さんも7代目になる息子さんがいらっしゃいまいした。
穏やかな内子の町の魅力が、こうして若い作り手へ受け継がれていく道を
作っているような気がします。