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伊予だより

四国の民家

2015年11月29日
語り手:門田真記子(手仕事フォーラム会員)

 

高松市の東北に位置する屋島山麓に、四国の各地から古い民家を移築して復原した
民家博物館があります。博物館といっても山の傾斜を利用した野外にあり、
鳥のさえずりや紅葉した木々を楽しみながら巡回していくことができます。

 

「民家はそれぞれの地方の身分証明書であり、その証明を失ってはならない」と考えられ
四国特有の民家を移築し、大工や左官など職人達の手により復原されたそうです。
中でも四国の特色が感じられる古民家をご紹介します。

愛媛県南予地方 小田町(現内子町)にあった民家。
小田町は内子町よりさらに山間部にあり、冬は積雪が多く寒い地域です。

 

そのため各部屋にいろりがあり床には竹が敷いてあります。

 

土間には和紙の原料となる楮を蒸すクドがあり、
天井から大きな桶が吊るされていました。
隣町の五十崎町(現内子町)では江戸時代より和紙作りが盛んだったので、
副業として和紙作りに携わっていたのだと思われます。

 

高知市内から移築された土蔵。
壁に三段の水切りがついていて、横殴りの雨によって壁が痛むのを防ぐ役割をしています。
降雨量の多い地方ならではの知恵ですが、装飾のようにも見え立派な土蔵です。
高知は石灰岩の産出が多く、漆喰が特産であり技術も高いのだそうです。
室戸のほうでもこういった土蔵を何件か見かけたことがあります。

 

中でも一番目を惹いたのがこの建物。砂糖しめ小屋と呼ばれます。

 

讃岐の特産であった砂糖の原料になるさとうきびを
部屋の中央にあるウスで引くのですが、これを引くのは人ではなくて牛。
牛の円運動にあわせて小屋も円形に作られたのだそうです。
円形の小屋がさとうきび畑にぽつぽつと建っていたことを
想像するとなんとも愛らしい風景だなあと思います。

 

徳島県一宇村木地屋から移築された民家。
一宇村木地屋という地名通り、移住生活を送っていた木地師が
定着した村だそうです。仏壇の前の床が少し開くようになっていて
家人が死んだとき湯灌の水(遺体を洗浄した時の水)をそこから床に
流して魂が家の中に留まることを願ったのだそうです。

 

「四国の山の中に農家があり、海辺に漁師の家があって
人々はそこで貧しくとも確かな生活を送ってました。」と
石碑には書いてありました。

 

黒光りする艶やかで太い柱や、茅葺きの端が美しくそろった屋根、
わらを混ぜしっかりとした温かみのある土壁。
ここにはなんの嘘も表裏もない、ただ
生活が直面していたのだと感じさせてくれます。小さくてもこんな家に
住みたいな、むしろ自分で作れないかな・・いろいろ思いを巡らせました。
時代は変わっても確かな暮らしを実感していきたいと感じています。

 

「四国村(四国民家博物館)」
高松市屋島中町91