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伊予だより

道後のぎやまんガラス

2017年6月23日
語り手:門田真記子(手仕事フォーラム会員)

 

日本最古の温泉とされる道後温泉。
三階建ての木造建築の屋上には振鷺閣(しんろかく)と呼ばれる
太鼓を設置した小部屋があります。昔は時を告げる為に太鼓を鳴らして
いたそうですが、現在は時間を減らし、決まった時刻にだけ
鳴らされています。

 

道後温泉の玄関口。
早朝の開館と同時に太鼓が鳴ると、温泉の入口がばっと開き、
朝風呂目当てに待ち構えていた人たちが一斉になだれ込む中に
紛れた思い出があります。

 

振鷺閣は四方を赤色のガラスで覆われていて、
夜になると明かりが灯り、紅のガラスが浮かび上がります。
明治時代、今の本館が建築される際に外国から
取り寄せられたガラスだそうです。夜見上げると、
赤い振鷺閣の頭上で大きく羽を広げた白鷺が白々と輝いていて、
怪しげで浮世離れしたような気持ちに見舞われます。
道後温泉は今秋に大規模な改修工事に入るそうで、そのせいか
ここ最近松山への観光客が増えているように思います。

 

道後温泉に来られたらお勧めしたいのが、道後温泉から徒歩5分
和ガラスを集めた美術館、瓶泥舎(びんでいしゃ)さんです。
瓶泥舎の故オーナーさんが長年かけて蒐集された、江戸時代以降の
貴重な硝子を見ることができます。
江戸時代の硝子は鉛ガラスで、ぱきっとした白ではなく
緑がかっています。本当はクリアにしたいけどできなかった訳ですが、
それが全体的に柔らかい印象をもたらしています。江戸時代には
まだ徐冷という技術が発達していなかったので、厚みのある硝子を吹いて
徐々に冷ますことができず、出来るだけ薄く吹いて瞬間に冷まさなければ
ならなかったそうです。様々な制約の中で精一杯作られたものに
繊細さと美しさが自然と宿っていて、見るたびに心に響いてきます。
いつも丁寧に説明してくださる学芸員の玉井さんに感謝します。

 

現在は滋賀県のMIHO MUSEUMでも瓶泥舎さんの選りすぐりの和ガラスが
展示されています。その後、岡山のオリエント美術館にも巡回される
そうなのでぜひ涼を求めて足を運んでみてください。

本当に美しくて可憐な和ガラスです。


瓶泥舎 びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館
790−0847
愛媛県松山市道後緑台7-21