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住まいと暮らし

白壁土蔵のまち倉吉

白壁土蔵のまち倉吉

2014年1月15日
語り手:吉田芳人(手仕事フォーラム会員)

 鳥取県中央部に位置する倉吉は、7世紀に伯耆国(ほうきのくに)の国府、国分尼寺がおかれ、伯耆の国の中心として栄えました。南北朝時代に打吹山(うつぶきやま)に城が築かれ、城下町、陣屋町として発展し、江戸時代中期以降に倉吉絣や稲扱き千歯で町が栄え、打吹玉川地区に江戸時代後期から近世にかけての伝統的建築物が残され、「白壁土蔵のまち」と呼ばれています。国の伝統的建築物群保存地区に平成10年(1998)に選定されています。 
 町の中心は打吹玉川地区で北側に西から東に流れる玉川と南側に位置する打吹山に挟まれた土地に本通りとなる八橋往来沿いに商家が建ち並んでいます。裏手の玉川沿いに醸造蔵、醤油蔵、裏門蔵、裏座敷が面し、玉川に架けられたむくりがついた一枚石の石橋が蔵ごとに連なり物資を蔵に納め、表通りの店で売り捌く往時の商売の様子を見ることが出来ます。

石橋

玉川に架かる石橋

 商家は主に切妻造、桟瓦葺き、平入、木造2階建で1階座敷前に出格子窓、2階に出格子や手摺、正面軒屋根は腕木と出桁で垂木を支える出桁造りを備えた町屋が倉吉の形態をよく伝えています。特に屋根の瓦は石州瓦で葺かれ、独特な赤褐色の屋根が連なる景観は山陰地方で見られる特徴となっています。この色は、出雲地方で産出される含鉄土石「来待石」を釉薬に使用することに起因し、1200度以上の高温で焼成することにより、耐寒性・塩害の強い瓦が出来、日本海側の厳しい環境に適した瓦と言えます。一部の商家の棟には来待石を加工した棟石が用いられています。端部が反り上がったハナイシと端部以外のヒライシを棟に乗せ石州瓦と共に強風・積雪・寒さに対応した地域独特の素材と言えます。

商家

窓に出格子のある商家

 

商家

赤褐色の屋根が連なる町並み

棟石

端部が反り上がった棟石と石州瓦の屋根

 通りに面する格子は親通し切子格子で、通称糸屋格子と呼ばれます。通し格子が入る格子に比べ、切子があるため採光上有利で屋内で色糸を扱う糸屋、織布で商売する呉服屋に使われていたことから来ています。2階の手摺の貫形状にも、糸巻型やくし型の飾り板が用いられるのは、倉吉絣で繁栄した時代と関係があるのかもしれません。

格子

糸屋格子の商家

格子

糸まき、くし型の貫板のついた手摺

 正面軒を支える腕木は、寺院建築に見られる海老虹梁に似た湾曲した形をしており先端に彫物の装飾を施し、家ごとに異なった意匠のくり形が見られ、本通りを歩くと連続して並ぶ腕木が町並みに統一感を与えると共に、関わった大工の心意気が感じられます。

腕木

くり型がある、湾曲した腕木

腕木

くり型の違いを見てください

 土蔵は、主屋と同じ石州瓦葺き屋根の建物で、外壁の腰廻りに焼き杉板縦目板張、上部が白漆喰壁となっています。土蔵・醸造蔵には鉄格子をはめ込んだ角窓が設けられています。玉川沿いの土蔵は、基礎を粗割石の接合部を加工しきれいに並べる打ち込みハギ積みと直方体に加工した切り石積があります。前者は城の城壁にも用いられた積み方です。

土蔵

醤油醸造蔵の外観

石積

打ち込みハギ積の基礎

石積

切石積の基礎

 歴史ある町の魅力は、周辺の自然と共にある町並み、建造物が訪れた時に心地よさを感じることが出来るか、歩いて楽しい時間を過ごすことが出来るかと共に住民が地元の歴史、文化に対し愛情や誇りを持っているかが重要な点です。平成15年に伝建地区で火災があり、焼失した商家の復興に際し、焼け残った部材を再利用し伝統的な町屋の形式で復興し「くら用心」として活用する町並み保存会。地元のまちおこし会社「赤瓦」はかつての酒蔵や醤油蔵を改装し土産物店、喫茶店、工房などさまざまなかたちで活用し続け、現在赤瓦十六号館まで活用の幅を広げ、新たな町の魅力の創出に取り組んでいます。また、町並みの中に銀行として明治41年(1908)に建てられた擬洋風建築は、倉吉初の鉄筋コンクリート造で国の有形文化財に登録されています。現在、レトロな雰囲気を生かしたレストラン・カフェとして活用されています。

擬洋風

旧銀行を利用したレストラン

 これらの歴史的資産を活かした活動は、訪れる人々がゆっくり時間を過ごしてもらうために重要なポイントであり、生活する住民にとっても将来にわたって快適に住み継ぐことが出来る町づくりに欠かせない活動と言えます。