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いがいの酒むしと泥亀汁

いがいの酒むしと泥亀汁

2008年7月19日
語り手:阿部一郎

いがいの酒むし

今が一番旬の貝で、山陰の夏の味覚の代表格である天然の岩ガキやさざえといっしょに堂々と店先に並べられています。

小さいものは2cmくらいから有り、主に吸い物やいがいめし、10cmを越す大物は酒むしやバター焼にして食べると白い旨味成分がたっぷりと出て大変美味しいものです。見た目はムール貝とそっくりで貝を開いてよく見るとちょっとエッチな形をしていて毛のところをつまんで取り出し、口にすると何とも言えない海の香りと旨味が口いっぱいに広がります。

泥亀(どろがめ)汁

泥の中を亀が泳いでいる…といった形の味噌仕立ての具だくさんの料理で、汁と云うより、焚き合わせといった感じにしました。

茄子は亀の甲を思いながら庖丁を入れていき、それを油で揚げて、中の具はひき肉と玉ねぎ生姜でいため、その中にズッキーニやかぼちゃ等夏野菜を入れ火が入ったら味噌と酒、みりんで味を整えます。

元々は近江の国の郷土料理で、この盛夏の時期、商品をてんびん棒にぶら下げて京阪神地方で駆け巡る近江商人の夏の必需品(料理)だったそうです。茄子には、「なす紺」と呼ばれる紫紺色の皮にナスニンというポリフェノール系の色素が含まれ、これが活性酸素の働きを抑制し、紫外線から体を守り、抗がん作用もあるそうです。真夏、肌をむき出しにして商売をしていた近江商人が好んで食べたのも理にかなっているのかも知れません。始めて作ってみましたが、これは美味しい。

いろんな野菜に良く合うし、ビタミンミネラルも多く獲れ、冷たくたべても良く、食欲の落ちる夏にはもってこいの料理だと思います。

郷土料理というものは、その地方の環境や土地柄に非常に密接な関係が有り、その生い立ちをさぐるとその土地の特色があぶり出され、料理という字は理に科(かな)うと言いますが、郷土料理というものは、偶然に生まれるのではなく、必然性の上に出来上がり、発展していくものだということがよく解ります。民藝との関わりが深いようです。