手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

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松花堂弁当

松花堂弁当

2009年1月27日
語り手:阿部一郎(たくみ割烹) / 写真:田中良子

お昼時、たくみ割烹に老若男女いろんなお客様がお見えになるが、注文の中で一番人気松花堂弁当、早い話が日替わり定食である。実に全体の七割強のお客様がこれを召し上がる。(ただ日常の食材を使うので、サラリーマンや主婦の方が少なく観光客の多い土日祭日はやっていない)この松花堂弁当の特色は、

 1. すべて手造りで食材も地元のものを使う。

 2. 毎日おみえになるお客様も多いので、毎日メニューは全て変える。

 3. メインは肉と魚を交互に変え、旬のものを使う。

といったところであるが、私が一番にこだわっている事は、色彩(彩り)である。もっと詳しく言えば、五色を必ず取り入れるという事である。

そう書くと見た目の華やかさや美しさを大事にノと思われる方も多いと思うが、もちろんそれも食欲の面から見ても必要だが、それ以上に大切な五色(赤、黄、緑、黒、白)は栄養的な面である。

 (赤)肉類(牛、豚、鶏)レバー、肝等。その他人参、トマト等〈タンパク質、脂質〉

 (黄)玉子類、カボチャ、さつま芋、トウモロコシ等。魚類全部、レモン等〈ビタミンABCD,カルシウム〉

 (緑)ほうれん草、小松菜、春菊、青ネギ等、主に緑黄色野菜、〈カロテン、ビタミンB〉

 (黒)昆布、もずく、ひじき、のり、ごま等〈ミネラル、カルシウム〉

 (白)ご飯、白ネギ、白菜、大根、蕪等〈でんぷん、繊維質〉

メニューを考える時、必ずこの五色を頭に浮かべて、献立を組む事にしている。

そして二番目に大変なのは、弁当を詰めるという事は、料理をたくさん入れなければならないと言う事。つまり原価がかかるという事である。

順番に皿に盛り付けて出す料理とは、空間やその器の美しさと対応しながら考えるという点で、基本的に違う。だから、大根でも人参でも蕪でも、その葉から実から皮から全て使う。葉はおひたし、実は煮物、皮はキンピラ等、無駄なく使う事が大事。

それを手変え品変え、和洋中エスニック風と工夫してアレンジして料理を作る事は、時におもしろく時には辛い。特に、海が荒れたり雪で、魚や作物がとれなかったりすると、たちどころに困る。

そういう場合は肉料理の比重が高くなるから、野菜をなるべく多く取り入れるようにしている。

 

料理という字を分解すると、理を料(はか)るという事になるそうで、__美味いばかりを追求していくだけでは、料理人としてはダメな様です。

 

さしあたって本日の松花堂弁当は、右下から、もさ海老フライもさえびソースかけ、左上鳥取地鶏とマカロニのトマトソース煮、隣が春菊と人参の白和え、ブロッコリーごま汚汚し、生ひじき、スクランブルエッグ(ベーコン、玉葱)、大根とひき肉の黄金煮、ご飯は、鳥取産コシヒカリです。全ての献立が毎日変わります。