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久しぶりにイワシが帰ってきた

久しぶりにイワシが帰ってきた

2009年3月14日
語り手:阿部一郎(たくみ割烹) / 写真:田中良子

かって鳥取で最大の漁獲高を誇っていたのは、対馬海流に乗ってやってくる海を埋め尽くす程の銀色に輝くイワシでした。明治時代からその量は長年ダントツ日本一でその中心的母港は鳥取最西端にある境港で、最盛期にはイワシの缶詰工場・加工工場が軒を連ね、街中イワシ漁の関係者でパチンコなどの遊技場や飲み屋等わきかえったものでした。そもそも境港は何年間も漁獲量日本一を続け(漁獲高は5〜6位)その 2/3以上はイワシが占めていました。ところがこの十年くらい前から全くイワシが獲れなくなり、その量も最盛期の 1/10に満たず、関連の様々な工場も消えるか、紅ズワイ缶に変え、境港は漁業の町と言うよりも、水木しげる氏プロデュースによる、ゲゲゲの鬼太郎の町としての方が有名になり街のあちこちに猫娘、ネズミ男、砂かけババアのブロンズ像が誇らしげにそびえ立っています。原因はやはり地球規模による温暖化だと思うのですが、その影響で20~30kgの黒まぐろが豊漁になり、今ではイワシの町が、まぐろの町に変わってしまいました。その、突然獲れなくなったイワシが、ピンポイント的・単発的に獲れるようになったのです。今回はこの立派なイワシをオイルサーディン風にしてみました。

 本来はこの 1/3くらいの小ぶりのものを使うのですが、半分に切るのもなんとなくイヤなのでそのまま調理しました。塩コショウしたイワシに軽く小麦粉をまぶし、フライパンにたっぷりのオリーブオイル、生姜、ニンニクを入れ弱火で2時間程焼きました。中の骨も柔らかくなって、頭から食べられます。イワシには人間に必要な必須脂肪酸が大変多く含まれ、カルシウムも豊富で大変ありがたい魚です。今はまだまだ高くなってしまったけれど、また大量に獲れて、大衆魚になる事を祈っています。