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浩二君へのエール

浩二君へのエール

2017年11月23日
語り手:横山正夫

 小鹿田の坂本浩二君の大壺をご紹介します。坂本浩二君は、手仕事フォーラムの皆さんには言わずと知れた小鹿田の今、そして今後を担う陶工です。君づけで呼ばせて頂くのは失礼かもしれませんが、彼を若い頃から知り、久野さんとともに彼の飛躍を期待していた一人として、親しみを込めて君づけで呼ばせて頂きました。
 久野さんは、彼が父上の一雄さんの元で修行を始め、一雄さんそしてお隣の坂本茂木さんの影響(仕事上もその他も)を受けて、将来は茂木さんを超える小鹿田の大物を作ってくれることを期待していました。勿論そこには彼が、名工の家に生まれ、その期待に応えうる資質と作陶に対する、ひたむきな姿勢があることを久野さんは見抜いていたのです。
 そして、浩二君も、その努力は並大抵ではなかったと思いますが、これに応え、現在は見事に小鹿田の大壺、大皿の製作にまで至っています。なお精進され、茂木さんを超えるまでの品物を作ってもらいたいものです。浩二君はまだ若く今後の伸びしろは無限です。今に安住することなく常に努力を重ねて、歴代第一の陶工を目指してほしいものです。浩二君にはその資質があります。
 前置きが長くなりましたが、浩二君が昨年製作した2斗5升の大壺をご紹介します。
 焼上がり、肩の張り、裾のすぼまり等小鹿田の今を代表する大壺に仕上がりました。

 この浩二くんの大壺と比較するため、以前本項No,21でご紹介した茂木さんの大壺を再度ご紹介します。

 少し見にくくなりますが、この二つの壺を重ね合わせてみたのが、下の写真です。肩の張り、裾のすぼまりが若干異なります。しかし、この差異は陶工の個性の差異でしょう。

 前述のとおり、この大壺は浩二君の到達点ではありません。良き批判者であった久野さん亡き後、浩二君がどのように発展をして行くのか、興味のあるところです。
 これは、私の個人的な考えですが、一つの方向性として考えられるのは、現在までは茂木さんと言う歴史に残る名工の跡を辿れば良かったのかもしれませんが、今後はより古作に近い造形を目指しても良いのではないかと思います。
 古作は、より軽く、かつふっくらとした丸みを帯びた造形をしていました。参考に本項No、38でご紹介した古作の写真(徳利二点を添えて)を以下に掲げます。

 浩二君へのエールとの題名で本項のご紹介をしましたが、小鹿田の大壺、大皿の次代への承継は優れた陶工の存在だけでは成し遂げられません。物は売れなければ製作をしなくなります。そして技術はすたれて行くのです。大壺、大皿を購入することは金銭的にも、また、スペース的にも大変なことです。しかし手仕事フォーラムの趣旨に賛同してくださる方であれば、大壺、大皿を購入する意味が理解して頂けると思います。一生に一度、一つだけでも購入することが次代への伝統の承継に繋がるのかもしれません。