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甘酒半胴(はんず)

甘酒半胴(はんず)

2018年2月26日
語り手:横山正夫

 苗代川の黒?貼付龍文甘酒半胴をご紹介します。

 九州薩摩の焼物は文禄・慶長の役で、島津義弘によって、朝鮮から連れてこられた陶工によって、始められました。薩摩の三カ所に着船した陶工がそれぞれ窯を開き、その流れが現在の苗代川、龍門司に繋がっています。

 串木野に着船した陶工の一団が後に苗代川に移り、以来営々と現代まで窯の煙を上げ続けています。

 苗代川の製品は白物と黒物に大別されます。白物が上手物、黒物が下手物と言って良いかと思いますが、庶民の日常の用に供し、大量に作り出された黒物に魅力を感じます。苗代川の黒物は無骨で荒々しく、それだけに生き生きとした生命力を感じます。そして、黒物の中でも、貼付文は他の民窯では見られない独自の技法で、その文様も龍、梅、阿弥陀等々を美しく貼り付けます。

 本項でご紹介するのは龍文の甘酒半胴(はんずと読みます)です。黒釉薬、貼付文の美しさを感じて頂きたいと思います。まずは正面から反時計回りに六枚の写真でご紹介します。

 

 次の写真は正面の龍頭のアップです。技術的にも、また造形的にも現代では再現出来ないのではないかと思います。このような製品が大量に、また易々と生み出されていた時代と現代とで、どちらが良い時代なのか、考えさせられます。

 次の写真は、縁の部分のアップです。内側にへこみを付け、縁を締めるとともに、持ち運びにも楽な作りとなっています。

 次の写真は、底の部分です。貝目が残ります

 さいごの写真は上方からの姿です。無骨で重い壺ですが、堂々たる体躯で、何処にも乱れはありません。

 (参考)
以上、苗代川の甘酒半胴をご紹介しましたが、薩摩から海を隔てた種子島にも貼付文がありますので、ご紹介します。下の写真は、種子島の能野(よきの)焼の甕です。無骨な焼き締めの甕ですが、苗代川とは、また違った魅力があります。
能野焼の来歴は定かではありませんが、苗代川等の朝鮮由来の物とは全く異質で中国南方に由来するのかもしれません。