手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

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失われし物

失われし物

2018年8月27日
語り手:横山正夫

 筆者が手しごとの品に興味を持つようになってから、すでに40年以上の月日が経過しました。この間、様々な手しごとを見、また購入してきましたが、その中にはすでに作られなくなってしまった品々も多々あります。

 その例として、山形県鶴岡の「亀の子笊」をご紹介します。

 この笊は、柳宗悦著「手仕事の日本」に『鶴岡で出来るものでは、竹細工に見るべきものがあります。「亀子笊」と呼ぶものは、縁作りが丁寧で、巾広く網代編にし、所々を籐で抑えます。形といい作りといい笊の類では一等でしょう。』(岩波文庫70頁)と紹介されています。そして、昭和9年に柳宗悦が購入し、民藝館の蔵品になっています。当時は、生活用具として、営々と作られていたものでしょう。

 ご紹介する「亀の子笊」は昭和50年代頃に久野恵一さんと鶴岡を訪ねた際に、製作現場で求めたものです。当時すでに後継者もなく、制作者の体調も優れず、伝統が途絶えることが予想されました。

 昭和9年、柳宗悦の発見から、その保護、育成を図っていれば、この美しい笊は消滅することもなかったのではないかと思われます。

 長年にわたり、営々として作り続けられてきた日本の手しごとの品は、これを発見し、保護し、新たな利用方法を探し、販路を見つけなければ、今日作られていた物が、明日には無くなっているということが多々あります。

 反省、自戒の意味を込めて、この美しい「亀の子笊」をご紹介します。

 

 笊と言っても、ほぼ籐箕の大きさで、使い方も籐箕と同様の使い方をしたのではないかと思われます。形が亀の甲羅に似ているため、この名があります。堅牢、形の美しさ、仕事の丁寧さが目立ちます。