手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

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恵比須と大黒
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恵比須と大黒

2019年7月8日
語り手:横山正夫

 恵比須と大黒とは自在鉤を吊り下げるための木製の鉤を言います。自在掛または空鉤とも言います。
 自在鉤は囲炉裏、竈の上に吊り下げて、それに掛けた鍋、釜等と火の距離を自由に調節出来るようにした鉤です。つまり、家屋の梁にまず恵比須または大黒を縄で吊り、この恵比須または大黒に自在鉤を吊ることになります。恵比須または大黒を使う場合の自在鉤は、通常麻縄に直接自在横木で吊った自在鉤を使用します。
 現代では勿論囲炉裏、竈の生活がなくなり、自在も過去の物となりました。本項では日々の生活の中から生まれた木工の美という観点から自在掛(空鉤)をご紹介します。
 文章ではご理解頂けないかもしれませんので、まずは写真でご紹介します。

 

 これら四点の写真は、恵比須型と言われる自在掛です。
大型の自在掛で、ケヤキの一木で出来ています。非常に大きく重い物でかなり大きな梁のある家で使われていた物と思われます。
 毎日囲炉裏の煙に燻されて、得も言われぬ肌合いとなりました。まさに生活の中から生まれた木工の美です。

 この四点の写真は、大黒型と呼ばれる自在掛です。
 この自在掛も大型で重く、相当規模の梁のある家に掛けられていた物と思われます。前記の恵比須と同じくケヤキの一木づくりですが、こちらの方が大径木が必要で、かつ細工もしなければならないため、上手だったのかもしれません。

 自在掛は現代では、その生活様式の変化により不用の品となりました。しかし過去には人々の生活に寄り添い使われてきた道具であり、日々使われることにより育て上げられた美があることを忘れてはならないと思います。
 最後に、ここでご紹介した大型の自在掛に吊す大型の自在横木をご紹介して、本項を終わります。
 この横木は、以前にもご紹介しましたが、竹筒やそれに通した鉤棒を使わず、この横木に直接麻縄を通して使う形の横木です。ケヤキの一木づくりで目玉、口の中の玉が動きます。木彫の工芸品であるとともに、これも囲炉裏の煙に長年燻され、得も言われぬ美しさとなっています。