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雲助(うんすけ)

雲助(うんすけ)

2010年4月20日
語り手:横山正夫

 雲助をご紹介します。
 雲助とは、酒、醤油、酢等の液体を、醸造の大樽等から小分けして、他の容器に移す、謂わば中間移動用容器とでも定義すればよいのでしょうか。中間移動用ですから、ある程度の大きさが必要で、かつ、小分けのために注ぎ口が必要です。現代ではフレキシブルなホースやポリ容器がこの役目を担い、雲助は現代の用途を失いました。
 しかし、雲助の用に叶った独特の形態は後世にまで残すべき美しい形態をしています。今では飾り壺や大型の花器としての用途となりますが、小鹿田では今なお昔に劣らない素晴らしい雲助が作り続けられています。その器体の軽さ、形態の美しさは、本来の用途を失っているのに、なお、このような物が生み出される事じたい、まさに驚き以外の何ものでもありません。
 現代の作品が、昔の物に優るとも劣らない例として、以下に17世紀後半の作品、大正、昭和初期頃の作品、そして、現代の作品をご紹介します。なお、形態の美しさを見て頂くため、真横からの写真でご紹介します。
 
 まずは17世紀後半の雲助です。高さ40センチ程の唐津松の絵の雲助です。堂々たる器体、雄渾な松の絵そして大胆に切り落とされた注ぎ口が魅力です。全てに無心の制作が感じられます。そして、これらの特徴は、当時大量に制作されていたことを物語ります(工人の手跡、焼き上がり、絵付けの素晴らしさ等については、また別の機会に・・・)。

 次に、大正、昭和初期頃の雲助をご紹介します。高さ40センチ程の雲助です。これは、小鹿田の旧作です。丸々とした器体、ちょこんと付けられた注ぎ口、そして、なにより、その器体の軽さに驚きます。この作品からは当時の工人の恐ろしいまでの、腕の冴えを感じます。小鹿田では、製品を馬に乗せて山を下りたため、器体を出来るだけ軽くする必要があったと伝えられていますが、その言い伝えがまさに事実であることを証明しているようです(焼き上がりの良さ、片身代わりの焼け等、見所については、また別の機会に・・・)。

最後に、現代の雲助をご紹介します。高さ45センチ程の雲助です。これは、小鹿田の工人の作品です。まずは、その洗練された形を御覧下さい。17世紀初頭から連綿と続く唐津の現代の姿を代表すると言っても過言ではないでしょう。そして、その器体は、前記の大正、昭和初期の作品よりも軽いのです。約400年の唐津の歴史の中で、現代の工人がその中で、第一級の仕事をしている等、まさに驚異以外の何ものでもありません。今後もこの伝統を絶やさずに、なお素晴らしい作品が生み出されることを祈っています(前二点と同じく、この作品の見所等については、また別の機会に・・・)。