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昔の物 今の物

唐津 唐津 唐津

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2010年9月1日
語り手:横山正夫

 「昔の物 今の物」では、これまで、「今の物」の比較材料として、昔の唐津の作品をご紹介してきました。これは、唐津(陶器)、伊万里(磁器)が中国、朝鮮からの焼き物技術を消化し、日本独自の焼き物を完成させ、現代日本の焼き物の原型を形作っていると考えるからです。確かに日本には、六古窯をはじめ平安期からの焼き物も存在します。しかし、これらの焼き物が現代の焼の物の範となっているかと問われれば、否と答えざるを得ないと思われます。

 

 このような訳で今回は、現代の焼き物の比較材料としてではなく、昔の唐津の焼き物そのものをご紹介します。なお、以前、すでに比較材料として、ご紹介した作品も重複になりますが、唐津の全体像を知っていただくために再掲載させて頂きました。

 

 まずは、皿、鉢類です。

俗に松絵の大捏ね鉢と言われる物です。17世紀後半頃から作られました。器体に白土を掛け、その上に鉄(飴)と緑?薬で、簡単な絵を描きます。本品は白土を刷毛塗りしており、少し雰囲気が違います。器体の重さの軽減を図ったのでしょうか。

飴と緑釉を流し掛けした櫛目大鉢です。三彩大鉢とでも言いましょうか。材料は前の松絵大捏ね鉢と全く同じです。器体に白土を掛け、直ちに櫛目、指描きで模様を入れ、その後、飴、緑釉薬を掛けてあります。小鹿田の源流を見ている様です。

この大鉢も前の三彩大鉢と同じ作行ですが、掛けてある釉薬が飴のみです。前の物よりおとなしく感じます。

飴と緑釉薬の掛け分けの大皿です。白土が見えませんが、この作品も下に白土を掛け、指描きをした上、一面を飴と緑釉薬で覆っています。単純なようですが、大胆さ、無限の大きさを感じます。

今までご紹介した作品の集大成がこの大鉢かもしれません。白土掛け、櫛描き、指描き、飴、緑釉薬流し、と唐津の日常使いの作品に使われている技法が網羅されているからです。


特殊な物はなにも使用せず、単純な組み合わせで、よくもここまでも美しい作品が出来るものだと感心します。

唐津のいわゆる三島手と言われる大鉢です。判子を押すように器体に窪みを付け、その上に白土を掛け、乾かしてから白土を削り、模様を出すものです。

 

従前、ご紹介した作品とは、趣が異なりますが、これも唐津の代表的作品の一つです。

次に、甕をご紹介します。

唐津の松絵甕の代表的作品です。17世紀後半からおそらく江戸時代の終わり頃まで、作り続けられたのではないかと思われます。大量に作られたため、今でも全国至る所で、見られます。しかし、時代が新しくなるにつれ、形、そして松絵に勢いがなくなります。この作品には松絵に勢いがあり、時代も古い物ではないかと思われます。

 

以下には、異なる絵を描いた甕をご紹介します。

最後に、壺類をご紹介します。

三彩の大壺です。技法は従前ご紹介した皿、鉢類と同じです。白土掛け、櫛描き、飴、緑釉薬流しです。器体の形に朝鮮の雰囲気を強く残しています。この緑?薬の毒々しいまでの鮮やかさは現代では再現が出来ないでしょう。

飴と緑?で笹を描いた大徳利です。上下に巻いた鉢巻きが、モダンな印象を与えます。

 

以上、唐津の「昔の物」をご紹介してきました。ご紹介の中で、もう気づかれたと思いますが、材料は唐津の土、白土、飴、緑釉薬のみ、工具は櫛、刷毛、指のみです。焼き物制作に特殊な物は、なにも必要ないことを昔の唐津の作品が教えてくれているようです。