手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

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昔の物 今の物

湯飲み(1)

湯飲み(1)

2010年10月6日
語り手:横山正夫

 「昔の物 今の物」では、主に焼き物を取りあげて、お話しをしてきましたが、焼き物の中でも一番日常生活に身近な「湯飲み」をこれまで、ご紹介してきませんでした。

 

これは、湯飲みが多種多様で、また、昔の物に「湯飲み」として取りあげる対象がなかなか見つからなかったからでもあります。そこで、湯飲みとして、本項で取りあげるとすれば、何らかの視点に立って、ご紹介するしか方法が無いと思いました。

 

そこで、私の個人的な視点で恐縮ですが、現代まで湯飲みの形に影響を及ぼしている益子の濱田庄司さんの湯飲みを取りあげ、その形が現代にまで受け継がれている様子をご紹介したいと思います。今後、折に触れて、何回かに分けて、「湯飲み」をご紹介する予定ですが、まず一回目は濱田庄司さんとその窯、そして、息子さんの作品をご紹介します。

 

まずは濱田庄司さんの湯飲みです。

地釉薬鉄絵の代表的作品です。実際の寸法より大きく堂々とした姿に見えます。この形が現代まで続く湯飲みの原型と言っても過言ではないでしょう。個人的な感想では、多分に唐津を意識しているのではと思います。

地釉薬鉄絵縁黒湯飲みとでも言うのでしょうか。素焼きに上半分だけ鉄釉薬に浸し、その後地釉薬、鉄絵を描いた物です。この形もほんの少し胴を絞り、大きめの高台、高台脇を斜めに削りとって、きりりとした丹精な姿を作り出しています。このかたちも現代に引き継がれています。

最後は飴釉薬胴紐湯飲みとでも言うのでしょうか。大振りの湯飲みで、抹茶茶碗からフィードバックしたのかもしれません。安定感のある堂々とした形、そして、たっぷりと掛かった飴釉薬が魅力です。

 

次に濱田庄司さんが自らの民芸の在り方を実践する場として、日常雑器を制作していた「門窯」の作品をご紹介します。

まずは、掛け分け湯飲みです。黒釉薬と糠釉薬を上下に掛けたものですが、その形、安定感、たっぷりと掛けられた釉薬が魅力です。

つぎの作品は柿釉薬抜き絵湯飲みとでも言うのでしょうか。地釉薬を掛け、その上に溶かしたロウで模様をつけ、全体に柿釉薬を掛けたものです。ともすると地味で冴えない益子特有の柿釉薬を使いながら、モダンで明るい作品を作り上げています。

最後の作品は焼締黒白打掛湯飲みとでも言うのでしょうか。形は紛れもない濱田形に黒釉薬と糠釉薬を打ち掛けています。形、打掛けの力強さ、釉薬の厚み等、濱田さん自身の作品と同等の力強さを持っています。この作品も多分に唐津(朝鮮唐津)を意識し、これを濱田流に消化した作品ではないかと思います。

次に濱田庄司さんの息子さんの濱田晋作さんの作品2点をご紹介します。特にコメントは致しませんが、庄司さんの流れが当然のごとく感じられます。

地釉薬鉄絵湯飲み

掛け分け湯飲み

最後に同じく、庄司さんの息子さんの濱田篤哉さんの作品をご紹介して、本項を終わります。

 

篤哉さんは若くして亡くなられましたが、イギリスのバーナード・リーチの工房に留学するなど、イギリスの雰囲気を作品に表し、庄司さんの形とまた一味違った作品を作っていました。若くして亡くなられたことが残念です。

櫛目灰釉薬湯飲み