手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

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山陰の藍

山陰の藍

2010年12月17日
語り手:横山正夫

 東北から沖縄まで、日本の各地には藍染めを利用した染織が多数存在します。いつの頃から藍染めが始まったのかは定かではありませんが、江戸時代に庶民が利用できる衣服等の布の材料は藍と木綿であったことは間違いないでしょう。江戸の庶民は、この藍と木綿を使って、美しい品物を生み出し、生活を潤いあるものとしてきました。それが、絣であったり、筒描きであったり、はたまた、板締めであったりと様々な技法を生み出してきました。
 山陰地方(因幡、伯耆、出雲、石見)においても、藍と木綿は生活に欠くことのできない材料として、利用されてきました。地元で採れる木綿と阿波からもたらされる藍を使って、倉吉、弓ヶ浜、広瀬等で絣が生産され、また、嫁入り道具、蒲団地、風呂敷、湯上げ等に筒書きが利用され、発展してきました。
 この、山陰の筒書きの例として、夜着をご紹介します。夜着は綿の入った着物とでも訳せばよいのでしょうか。また、今風に言えば袖付きの掛け布団でしょうか。ともかく、下の現物をご覧下さい。






 

 手紬木綿の風合い、意匠、造形力、色遣い、どれを採っても今の物は負けています。毎日使う夜着にすら、このような素晴らしい品物を制作し、また使用していた時代を羨ましく思います。勿論、夜着自体は現代の時代に合わないことは致し方ありません。しかし、この作品のような筒書きが、ごく一部を除いて、現代では、ほとんど作られていない事が残念でなりません。
 次に、筒書きの他の作品を二点ご紹介します。


藍の濃淡のみで美しい模様を生み出しています。

 最後に、山陰の絣を何点かご紹介します。
まずは倉吉絣です。





弓ヶ浜絣裂です。

 山陰の藍を見て頂きましたが、手仕事の素晴らしさ、そして、手仕事は、これを知り、かつ育てていかなければ、いつの間にか消えてしまう可能性があることも知らねばなりません。