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在銘の龍門司

在銘の龍門司

2011年8月8日
語り手:横山正夫

 龍門司焼は、その歴史を遡れば、文禄・慶長の役で朝鮮から連れてこられた陶工によって、始められた焼き物です。16世紀の終わりから現在まで営々と作り続けられていることとなります。勿論作家ではなく、また藩窯でもないため日用雑器を作り続けてきました。
 長い年月の中で盛期もあれば衰退期もあったと思われますが、各時代の陶工の努力によって今日を迎えていると思われます。そこには常に故きを知って革新の意識があったでしょう。現在も龍門司窯は外部の指導を受けている由、聞き及びますが、長い伝統を次の時代に引き継ぐには、必要なことだと思います。
 本稿では、龍門司の作品に銘を刻印した作品が存在し、その作品をご紹介します。この在銘は作家として銘を入れたものとは考えがたく、名工として銘を入れることを許されたのかもしれません。この銘の存在によって、何時の時代に作られた物かが明らかとなります。昔の名工の腕の冴えを感じて頂けたらと思います。

 ご紹介の最初は四角の枠に芳の文字のある「からから」です。時代は不明ですが、19世紀初め頃の物でしょうか。

次ぎに、芳林銘の作品を3点ご紹介します。芳林は18世紀末の陶工です。

 この作品は鮫肌釉薬の徳利です。鮫肌釉薬は18世紀末頃に芳工銘の陶工によって始められたと言われています。つぶつぶのざらついた肌が粗野な印象を与え、筆者は好きになれませんでしたが、この作品を見て、印象が変わりました。

高さ22センチほどの鶴首の徳利です。姿の美しさ、轆轤の冴えを感じます。

何時の時代の龍門司の陶工も「からから」を作ります。

 

 次ぎに、芳平銘の作品をご紹介します。芳平は上記の芳林に次いで活躍した陶工で、19世紀初め頃の陶工です。

「からから」も3点目になりますが、それぞれの陶工が、基本の形を守りながらも独自の造形、意匠を発揮しています。

 

最後に、江戸末期の活躍した芳光の作品を3点ご紹介します。

仏花器でしょうか、龍門司の柔らかい白生地が暖かみを感じさせます。


 飴釉薬の物は高さが18センチあります。きりりと締まった堂々たる姿です。

 

 以上、龍門司の在銘の陶工の作品をご紹介してきましたが、どの作品も、一言で言うなら、どっしりと安定していて乱れた所が一つもないと言えます。現代の龍門司がこれらに負けない作品を生み出すことを期待します。