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漆の皿と椀

漆の皿と椀

2012年11月15日
語り手:横山正夫

 漆の皿と椀をご紹介します。
 現代の漆製品は高価に過ぎ、庶民の日常生活からかけ離れてしまいました。その原因が何処にあるのか、もっと安価に、日常使いの漆製品が作れないものか、手仕事フォーラムで考えて頂きたいテーマではないかと思います。
 漆は耐熱、耐化学薬品、堅牢で縄文時代の遺跡からも発見されるほど優れた性質を持っています。木製木地に漆を数回塗っただけで剥げることもなく使用できます。現代の漆器の高価なのは、過度に下地、そして塗りを繰り返すことも、その一因かもしれません。
 本項では、昔の素朴な漆塗りの皿と椀をご紹介し、簡単な塗りでも、なお時代を経て使用できることを知って頂きたいと思います。
 
 まずは浄法寺の作品四点です。いずれも簡単な下地の上に呂色(黒)漆を塗り、その上に模様を描いています。
 
一枚目は、三色の色漆で可憐な草花を描いた縁高の皿です。大量に作られたのでしょう。素早い筆さばきで、絵が生き生きとしています。

 二枚目は、他の産地にも見られる模様ですが、安定した図柄がこの縁高の皿の形態によく調和しています。

 三枚目と四枚目は高台付きの皿です。黄漆で草花を描き、一枚は朱と緑のぼかしを入れています。これらも、雑器として大量に作られ、使用されていた物でしょう。薄造りで多数枚を重ねても場所をとりません。現代でも十分に実用となるのですが、安価で提供できる製品は作れないのでしょうか。

 次に小皿二点をご紹介します。
 
まずは、浄法寺の小皿です。鮮やかな黄色と朱色をまとった小皿です。塗りも雑ですが、日常使いに十分な強度を持ち、雑に扱っても壊れそうにありません。その色合いと相まって、食卓を華やかに飾るでしょう。

 次の小皿は、いわゆる根来塗の小皿です。産地は不明ですが、朱漆一色で塗り上げた物は各漆塗りの産地で作られていたものと思われます。この品物も堅牢な塗りで、雑に扱ってもびくともしません。その上、使っているうちに、朱漆が擦れて、下塗りの黒漆が顔を出します。根来塗の魅力です。

 最後に椀三点をご紹介します。
 
 まずは、本稿(8)で主椀の写真一枚のみご紹介した飛騨高山近郊の椀です。木地師が簡素な轆轤で、乾燥も十分とは思えない木地を使って、制作しています。そして、この木地に炭粉下地を付し、黒漆を塗り立てています。出来上がった製品は、椀の大きさも均等ではありません。おそらく、寺院等からの大量注文に応じて作られた物でしょう。その識別のためか、朱漆で文字や記号が描かれています。その堂々たる姿を四枚の写真でご紹介します。

 次の椀は、浄法寺の三つ組み椀です。多少上手の物でしょうか。内に朱、外に黒漆を塗り立てて、その上に朱漆で模様を描いています。現代の厚化粧とは異なり、すっきりした印象です。かなり年代を経た物ですが、簡単な漆塗りでも長年に渡って使用できることが分かります。

 最後の椀は、これも本稿(8)で主椀の写真一枚のみご紹介した南部箔椀の四つ組み全体像です。最上手の製品ですが、今までご紹介した製品もこれに負けていません。漆の奥深さと幅を感じます。