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民藝の作家

民藝の作家

2012年12月14日
語り手:横山正夫

 民藝の作家として、京都の上田恒次(敬称略)をご紹介します。
 上田恒次は、他の民藝の作家と多少趣を異にし、京都の知的においを漂わせる優雅で、力強い作品を作りました。京都の代々続く商家の生まれにその源があるのかもしれません。
 一般には河井寛次郎の弟子であるかの紹介をされますが、練上作品を除いて、独自の作品を残しています。建築に対する深い造詣と共に忘れてはならない作家でしょう。
 以下に、白磁、辰砂、赤絵、練り上げの作品で、上田恒次の作風を少しでもご理解頂ければと思います。

まずは、白磁です。
 上田恒次の白磁は、その造形とイス灰の上薬をたっぷりと掛けた独特の磁肌にあります。厚手の器体にイス灰の柔らかな肌が、ともすれば冷たい印象を与える白磁に茫洋とした暖かみを与えます。

白磁俵型壺

白磁木瓜(もっこう)四方皿

 次ぎに、上田恒次の作風を知るのに五客変わり組湯飲をご紹介します。白磁を器体として、鎬を加え、呉州、辰砂、鉄で飾っています。どれも味のある湯飲みに仕上がっています。

五客変わり湯飲

五客中の辰砂面取湯飲です。

五客中の呉州捻湯飲です。

つぎに、赤絵金彩の十客組酒杯をご紹介します。
民藝の世界とは多少趣を異にしますが、上田恒次の高貴な感覚が感じられます。
通常、磁器でこのような酒杯を作ると、繊細でどこか弱々しい作品となりがちですが、上田恒次のこの酒杯は厚手で力強く、堂々としています。

赤絵金彩十客組酒杯

 その拡大写真です。

 

 最後に、練上の作品をご紹介します。練上は河井寛次郎から受け継いだ技法です。しかし、作者が異なれば、やはり、その生み出される作品も趣を異にします。練上の器体にたっぷりと透明釉薬を掛け、河井寛次郎とは異なる世界を作り出しています。

練上四方皿

練上六枚組皿

練上湯飲

練上湯飲

 以上、民藝の作家として、上田恒次をご紹介しましたが、民藝の世界に一方の足を置きながら、他方で独自世界を作り上げ、知的な香りのするこの作家に限りない愛着を感じます。