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昔の物 今の物

小石原・小鹿田の徳利

小石原・小鹿田の徳利

2013年7月17日
語り手:横山正夫

 小石原・小鹿田の徳利をご紹介します。
小石原・小鹿田は兄弟窯で、陶土に多少の違いはありますが、昔から同種の品物を作ってきました。新しい作品があっても、それは昔からの作品の継承があって、初めて生きてくるものであり、伝統の形、作品を抜きにしては語れません。
本稿では、小石原・小鹿田の徳利で、昔の物、今の物をご紹介します。
まずは、一升徳利三点をご紹介します。昔の物、今の物が混在しますが、特に昔今を区別する理由はなく、その形、意匠等は昔も今も素晴らしいものです。

 つぎに、一升徳利より小ぶりですが、小鹿田の古作をご紹介します。菖蒲でしょうか、イッチンで花を描き、葉、茎を指描きで現します。落ち着いた飴釉薬の中で可憐な花を咲かせます。作家物ではない日用雑器の窯だからこそ出来た、まさに民芸の美を現す徳利でしょう。イッチン、指描きの線の素早さ等、作家が一品を作るのでは到底現せない線です。この徳利は多数の徳利を作る中で、無心の内に生み出された物だと思います。

 最後に、小鹿田の小徳利二点をご紹介します。
 昔から今に続く伝統の形の徳利です。いずれも飴釉薬の調子が素晴らしく、現代にも再現してほしいものです。
一点目は胴部にへこみがあります。これが作為によるものかは分かりませんが、嫌みにならず、自然体で存在します。
二点目はイッチンで銀杏の葉を描いています。イッチンの線に迷いがなく、すっきりと描かれています。おそらく、多量に作られたため、このような迷いのない線となっているのでしょう。釉薬を掛ける際の手跡も見所です。

 以上、小石原・小鹿田の徳利をご紹介しましたが、この両窯が、いかに伝統に沿った作品を現代まで作り続けているかを、改めて思い知らされました。そして、両窯が民窯にとって、いかに貴重な窯であることも・・・