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螺鈿

螺鈿

2013年11月20日
語り手:横山正夫

 螺鈿とは貝の真珠質の輝きを器等の装飾に用いる技法です。貝の真珠質の美しさは太古より人類が目にした最初の美かもしれません。貝そのものを加工して、貨幣や装飾品とすることに始まり、後々、貝を板状に切り出し、磨いて、これを建具や器等に貼り付けて装飾に用いるようになりました。
 日本における螺鈿は奈良時代に中国から伝えられたと言われています。始めは上流階級の品物に用いられ、その後武具等にも用いられ、一般庶民の用に供されるのは江戸時代になってからでしょうか。以下に螺鈿の作品をご紹介します。
 
まずは民藝とは異なりますが、武具の一例として、槍の柄に用いられた螺鈿をご紹介します。堅牢でなければならない武具ですので、鮑の厚貝を用いて漆で固めています。キラキラと輝く螺鈿の美しさは武具であることを忘れます。

 次ぎに、商家で用いられた菓子箱をご紹介します。二段の重箱になっており、周りに鮑の小片をちりばめ、朱漆で屋号を描きます。黒の機体、屋号の朱文字、そしてきらびやかな螺鈿、すべてにバランスのとれた美しさがあります。

 次の作品も菓子箱でしょうか。四隅に鮑の小片を螺鈿で飾り、黒漆の機体に朱漆の足と線を描いています。デザイン、バランス等現代も学ぶところがありそうです。

 次ぎに、螺鈿のお膳をご紹介します。鮑の厚貝を機体全面に貼り付けています。えもいわれぬ美しさです。現代では畳に座って高足のお膳で食事をすることはまずありませんが、必要から出た食器具にこのような装飾をすることの出来る時代がうらやましくもあります。

 次ぎに、螺鈿の足付きの大盆をご紹介します。これも鮑の厚貝を敷き詰めています。いままでご紹介した作品より粗野な印象がありますが、螺鈿の美しさは変わりません。祝いの席にでも用いられた物でしょうか。

 最後に現代の作品をご紹介します。漆の製品そのものが高価となり、螺鈿の製品もこれを製作するのは漆作家のみが制作しているのが現状でしょう。鮑の厚貝を用いて丁寧な仕事をしています。

 以上、螺鈿をご紹介してきましたが、螺鈿の美しさは他に代えがたい美しさです。

 

 漆製品を私ども一般庶民が気軽に使用できるように出来たら、また、その中に螺鈿の製品も入っていたらと夢想するこの頃です。