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春慶

春慶

2015年9月1日
語り手:横山正夫

 春慶をご紹介します。
 春慶塗りとは、檜等の生地に透き漆を塗って仕上げた製品を言います。日本三大春慶として飛騨高山、粟野、能代が挙げられます。能代は現在生産されておらず、粟野もただ一軒が生産をしているようです。従って、春慶として今でも活発に活動しているのは飛騨高山のみと言うことになります。産地によって使用する生地、工法、漆の質が異なるため、その作品の雰囲気も多少異なりますが、総じて木工の確かさ、木目模様を魅せる透き漆の美しさが魅力です。
 本項では飛騨高山の小箪笥二棹と粟野の作品二点をご紹介します。
 まずは飛騨高山の帳場箪笥です。檜生地に鉄金具をあしらい、繊細ですっきりとした姿を見せます。帳場箪笥と言うと酒田や松本等の欅に重厚な鉄金具の物を連想しますが、日本人の本来の感性には檜の柔らかさが合っているのではないでしょうか。現代の飛騨春慶がこのような家具まで製作しているのかは知りませんが、昔はこのような、使いかってのよい箪笥類も作っていました。
 一つ目の箪笥は長年使われ、天板を塗り直してあります。塗り直しと元々の漆でその透け具合が分かります。

二つ目は飛騨高山の小箪笥です。女性が小物を仕舞っておくのに丁度良い大きさです。年月が経ち得も言われぬ飴色となっています。

 最後にご紹介するのは茨城県桂村粟野で作られた蓋物と長手盆です。約35年前に購入した物です。石檜という堅い檜を生地として、目止めをせずに(飛騨春慶は呉汁を下地として目止めをします。)漆を塗っています。購入当時は生地も見えず濃い飴色でしたが、35年後には写真のように木目が見えるほどの美しい飴色となりました。

 以上、春慶をご紹介しましたが、素朴で美しい漆器として使用してみてはいかがでしょうか。