手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

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昔の物 今の物

鈴木繁男さん

鈴木繁男さん

2016年4月17日
語り手:横山正夫

 鈴木繁男さんについては、久野さんの別項でその人となりが詳細に紹介されています。久野さんが民藝の師と仰ぎ、多くの教えを受けた人物として、忘れてはならない人です。民藝に対する心構え、物の見方から物の見せ方まで、その影響は計り知れません。特に博物館、展覧会はたまた民藝作品の展示販売の場にあって、いかに美しく物を見せるかと言う点については鈴木繁男さんの影響が多大であったと思います。久野さん亡き後の現在、跡を継ぐ人は常にこの点を疎かにしてはならないと思います。
 話が逸れてしまいましたが、それでは鈴木繁夫さんとはどのような方だったのでしょうか。漆の作家、装丁家、図案家、陶磁器の絵付け師、陶芸の作家いずれにも該当するようでもあり、しないようでもあります。雑誌「工藝」の漆繪の表紙、砥部や東北に於ける絵付けの指導、民藝館の展示等優れた業績を残していますが、工藝全般にわたる作家と見るべきなのかもしれません。本項では鈴木繁男さんの赤繪とご自身の作陶作品をご紹介します。
 
 鈴木繁男さんの赤繪と言うと戦前の器胎いっぱいに施した赤繪が代表作として紹介されますが、晩年に久野さんの求めに応じて、沖縄の陶器に施した赤繪も円熟の境地を現し、魅力があります。鈴木さんそして久野さんが存命であれば、この赤繪の仕事は大きく評価されたと思います。
 以下に鉢、皿そして酒杯をご紹介します。

 以上が沖縄陶器に赤繪を施した作品ですが、久野さんはもう一つ出西窯の器胎にも鈴木繁男さんの赤繪を計画していました。次にご紹介する湯飲みがその試作です。鈴木さんは器胎に合わせて赤繪を施していることが解ります。荒さの残る沖縄の器胎には元気よく大胆に、また洗練された出西の器胎には可憐な赤繪を施しています。いずれも空間を生かした円熟の赤繪です。

 最後に、鈴木繁男さんの焼き物作品をご紹介して、本項を終わります。自らの作陶は10年程の期間しかなく、漆、模様、展示等の他の仕事と比較すると、余技であったのかもしれません。

灰釉薬湯飲み

灰釉薬湯飲み

黒釉薬指描壺