手仕事フォーラム〜手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを

ホーム>連載・手仕事レポート>鳥取の手仕事>おぐらや9代目 小椋昌雄さん

鳥取の手仕事

おぐらや9代目 小椋昌雄さん

おぐらや9代目 小椋昌雄さん

木彫人形十二支に魂入れ続け65年
朝、目覚めたときから干支の気持ちに
2007年12月11日
語り手:岡崎典子(手仕事フォーラム会員)

 十二支をすべて言えますか?言えるという方、それをすべて漢字で書けますか?最近では、干支の存在を重視する人が少なくなってきたような気がします。そんなことを言っている私も、恥ずかしながら言えても漢字ですべては書けません。
鳥取県岩美町にある「おぐらや」の9代目、小椋昌雄さん(78)は、木彫十二支(鳥取県の伝統工芸品指定)に魂を入れ続けて65年。干支を誰よりも大切にしている人の一人です。「おぐらや」は、十二支の挽物玩具を作り始めて今の昌雄さんで3代目。それまでは、木地師の家系として器や人形など様々なものを挽いてきましたが、それを誰からも毎年愛される、そして古くから続く干支を大切にしてほしいという思いから、十二支の玩具に絞ってひたすらに、丁寧に作り続けています。

「作る」といっても、手仕事なので大量生産は無理。作品を仕上げるのに大変な年月がかかるというから驚きです。まず、山で採ってきたエゴの木を乾燥させます。これだけで5年から10年。それをロクロでまわし、作りたい干支に削っていきます。耳や尾などの部分はそれ用に作らないといけません。そして、下絵として白の膠(にかわ)を全体に塗ります。そしてやっと泥絵の具を使って本塗りに入ります。来年の干支は子(ねずみ)ですから全体にねずみ色。さらに乾かしながら、目やひげなどの黒や赤、茶色などをのせていきます。この作業を前の年の夏から始め、4〜5千ものかわいらしい子(ねずみ)を作りあげるのです。

私もこの干支たちのファンの一人です。きっかけは、岩美町に住む知り合いの方から、「持っておくと幸せな気持ちになるわよ」と言われ、いただきました。確かに玄関に置かれているかわいらしい作品は、私を和ませ、自己主張をしすぎることなく、出迎え、送ってくれています。今回お話を聞いてから、ますますいとおしく感じました。

小椋家は、平安時代から木地師として山を転々としていました。その流れを絶やすことなく、手仕事にたずさわってこられました。その重圧は大変なことだろうと思いきや、昌雄さんは、気負うことなく、ごく自然に筆を握っておられます。「ごちゃごちゃ言わず、手元にあるものを正直に作れ」これが先代からの教えでした。その教えは、これも自然に息子さんに受け継がれることになっています。来年の干支に向かっている時は、朝目が覚めた時から子(ねずみ)の気持ちになっていらっしゃるのだそう。とうてい私たちには計り知ることができません。さて、来年は十二支のトップバッター、子(ねずみ)です。どんな年になるのでしょうか?良い年にしたいものです。